
正式名称は「ONTOMO MOOK Stereo編 LPカートリッジ読本 〜小さなレコード針が実現する楽しみの世界」で、発行日は2019年3月1日。聞いたところによると、カートリッジを交換して音の変化を楽しむのは、日本人くらいしかいないとか、いやそうでもないとか。外国の人はつけっ放しが多いようだ。実際にPro-JectやRega、Clear Audioなどに採用されているストアームは、極細のリードワイヤーが使われていて、切ってしまったら厄介だ。とてもじゃいけど、カートリッジを交換して楽しもうなどという発想はわいてこないだろう。
言ってみればアナログ再生マニアによる、マニアのためのムックということになる。巻末には販売中のカートリッジが図鑑のように並んでいて、これをニンマリと眺めながめながら酒を飲む人もいる……かな? 読み物としては、ひとりでやっているようなメーカーも含めて、エンジニアのインタビュー記事が面白い。それぞれの方々が、どのようなことを考えて企画、製造しているのか、興味深いのだ。技術が完成されているカートリッジで、どう違いを出していくのかは難しいことなのだろう。
そうは言っても、カートリッジひとつに何十万円も出すのは御免こうむりたい。これからレコード再生をしようと言う人にお勧めするのは、カートリッジは安いMM型で十分で、むしろフォノイコライザーにちょっとばかりお金をかけた方が良いと思う。