
リストのピアノ協奏曲は、あまり人気がないようだ。第1番は「トライアングル協奏曲」と茶化されてしまい、第2番はいまひとつピアノの見せ場に欠けている。「超絶技巧」のリストなのに!……と、独奏曲のイメージを引きずって聴く人が多いのかもしれない。しかしオーケストレーションは実に巧みで、聴かせどころがたっぷり詰まっている。息がぴったり合っていて、演奏者たちも綿密に作り上げていったのだろうと思われる。
これでグラモフォンの「赤」はお仕舞い。厳めしいドイツ音楽の歴史的名演ばかりかと思えば、古楽からフランスもの、アメリカの「ウェスト・サイド・ストーリー」、ライト・クラシック、新しい試みまで幅広くカバーしている。ぼくのように、これから本腰を入れてクラシックを聴いてみようという人間にも楽しめる。総じて録音は良好で、時代の限界で古めかしいのはあっても、ノイズだらけとかバランス崩れで「これはちょっとなあ」と思うようなのはない。