2022年08月13日

お外で淹れる

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出先で珈琲を飲むときには、小さなミルでぐりぐり豆を挽いている。申し訳ないけど、備えつけのがっちり酸化した凶悪なヤツは敬遠することにしている。アウトドア用のステンレスマグカップに、ダイソーで買った一杯用ドリッパーを載せて淹れると、そこは新鮮な豆だけあって湯沸かし室に香りが立ちこめる。ぼくが山登りするのを知っている人は、「良いですね、山にももっていかれるんですね」などと声をかけてくれるけど、「ええ、そうなんですよ……」と適当にお茶を濁してしまう。

マジに答えると、山登りでこんな悠長なことはしていられない。風で粉が飛んだり、カップに載せたドリッパーが倒れてしまったりする。抽出すればゴミになる。最大の難点はカフェインの利尿作用で、トイレに行きたくなることだ。こっそり「キジ撃ち」で済ませたとしても、しっかり補水しないと脱水症状になりかねない。だから温かいものが欲しい季節には、粒の麦茶を沸かして保温ボトルに入れることが多い。

ちょっとしたドライブに折りたたみの椅子を載せて、のんびり景色を眺めながら珈琲を楽しむのは良いと思う。このごろハマっているのが、「アルコールストーブ」。アウトドアでお湯を沸かすなら、ガスバーナーが手っ取り早いし自分も持ってはいるけど、「ゴーッ」という音がキカイ的で野暮ったいのだ。たしかにアルコールの火力は弱いけど、「エバニュー」のチタン製アルコールストーブは凄い。火力調節できないのと、火消しの蓋がついていないのはマイナスポイントだけど、すぐにお湯が沸く。
posted by あおのり at 10:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲

2022年08月07日

大坊珈琲店の模型

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大坊珈琲店は2013年まで38年間、東京の青山で営業を続けた名店だった。酸味が消えるまで深煎りされた豆は、店主の大坊さんが手回しのロースターで煎っている。たとえ1キロでも、煙突のない手回しなら店内にこもる白煙と異臭は相当なものだろうけど、午前中に訪れていた人は平気だったのだろうか。

ぼくは一度だけ、大坊珈琲店で信じられないくらい「とろんと甘い」珈琲を味わった。店主の大坊勝次さんは岩手県出身ということもあり、盛岡市のコーヒー・フェスタに招かれてお話をしてくださった。ご著書にサインをいただくときに、「大坊さんの珈琲の模型くらいは作りたいと思っているんですけど、全然です……」と話してみた。「いやあ、簡単ですよ、簡単……」と気さくに笑っていらっしゃったけど、あれはマジックだ。

模型にチャレンジするチャンスは、夏にやってくる。妻は深煎りの豆が嫌いなので、ふだんはあまり焙煎しない。アイスコーヒー用に深煎りした豆を、ドリップしてみるのだ。ちょっと痛いのが、わが家の抽出はハリオV60で、大坊珈琲店のようなネルドリップではない。ネルを使ったこともあるけど、家で淹れるのには管理が大変だし、衛生面にも気を遣うのが面倒でやめてしまった。ブラジルのフレンチローストをベースにしたブレンド、15グラムを中粗挽きにして、80度の湯で100mlを点滴ドリップした。

……やっぱり、とろんと甘い珈琲にはほど遠かった。模型と呼べるくらいの甘味を出すには、どうしたら良いんだろう? 生豆をもっと吟味せよと言われると、どうにも苦しい。商社と直に取引できるわけではないし、小分けの問屋さんから買っているので。良いものは大口に流れて行ってしまって、「残り物」に福はないので。
posted by あおのり at 20:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲

2022年07月26日

東ティモール

「東ティモール」はインドネシアのジャワ島から連なる列島の、東端にある。この地図の枠外の南にはオーストラリア、北にはインドネシアのスラウェシ島(トラジャの産地)が位置している。なぜかオエコシ(オイクシ)という飛び地がある。ポルトガルの植民地として厳しい収奪に遭い、お次はインドネシアによる支配、日本軍による占領、そしてインドネシア……と、散々な目に遭ってきた国のようだ。いまは石油とコーヒーの輸出で成り立っているらしく、コーヒーはフェアトレードのアイテムとして人気がある。

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「東ティモール コカマウ組合」。生豆を5kg購入して、欠点豆としてハジいたのは100gだった。能書きによると産地の標高は1300〜1700mで、品種はカチモールが主体のようだ。スクリーンが大きく、焙煎するとシワが良く伸びるので、見栄えのする豆だ。

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焙煎はシティ・ローストの浅め。このくらいの焙煎進度だと、明るい酸味が前面に出て来る。ほわんとした桃のような香り。ハイブリッド種なのに甘味もあるし、アフターテイストは爽やかだ。さすがにケニアのようなフルボディな感じはなくて、やや単調だけど、まあそこは値段相応というものだろう。
posted by あおのり at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 珈琲

2022年06月12日

イタリアン・ロースト

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焙煎の行きつく先はフレンチ・ロースト、イタリアン・ロースト、そして炭? フレンチ・ローストはまだ褐色の範疇だけど、イタリアン・ローストになるともう真っ黒だ。これはエチオピアのモカでフレンチ・ローストを狙ったのだけど、乾燥ムラのせいか1割以上がイタリアン・ローストになってしまった。ひろい集めて、これだけで飲むことにした。

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昔は「エスプレッソに使う豆は、イタリアン・ロースト」と言われていたようだけど、いまや本場ではどんどん浅煎りに傾いているらしい。あれはは小さなカップに砂糖をしっかり入れて、クイッとあおるので、飲み物と言うよりはキャンディのような感覚なのかもしれない。うちにはエスプレッソをこしらえる道具もないので、ペーパードリップで淹れてみた。13gで100ml、湯温は80度くらい。まるで酸味がないので、浅煎りや中煎りの珈琲とはまったく別の飲み物になってしまっている。甘味と苦味がうんと前に出ているけど、高温抽出ではないので口当たりは優しく、深煎りの苦しさは感じない。脂っこい食事の後に飲むと口の中がさっぱりして、さらに甘いものをちょっとつまみたくなる。
posted by あおのり at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 珈琲

2022年03月23日

コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか

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著者の川島良彰氏は静岡のコーヒー屋に生まれ、高校を卒業してすぐに生産国のエルサルバドルに渡った。表向きは留学でも、徒手空拳で国立コーヒー研究所に押しかけて研究生になった人だ。UCCの創業社長に見込まれて、ジャマイカ、ハワイ、インドネシアで農園開発を行う傍ら、栽培されなくなった品種を復活させて「コーヒーハンター」としても名をはせた。いまは「ミカフェート」を経営して、生産地と消費地を結ぶ活動をしている。目指すところは、「美味しいコーヒー」を通じて生産者と業者がウィン・ウィンの関係になり、産地が報われてゆくことだと推測する。

暴露本のようなタイトルだけど、コーヒー好きにはとくに驚くことはない。「まあ、そうだろうな」と思うようなことが淡々と、誠実な態度で書かれている。でも多くの人が肝心なことを知らないまま、「コーヒーなんて、こんなもんだよね」とマズイのを飲んでいるし、それを良いことにマズイものを提供しつづける店もある。いや店の人も、コーヒーは鮮度が第一なことを知らないで出している。

川島さんも鮮度が第一なことは知っているはずなんだけど、正直に暴露していないのは、どうしたことか。寅さんが「それを言っちゃあ、オシメエよ」と言うから、なのか。コンビニコーヒーが美味しい理由を「挽きたて淹れたて」と言っているが、実は「煎りたて」が一番の理由だろう。大手ロースターのコーヒーは、焙煎してから流通センターに運び込まれるまでに1か月かかるそうだ。コーヒーは焙煎してから2〜3週間、挽いてしまったらその日のうちが賞味期限、でしょ?

新鮮なコーヒーを流通させれば、みんなもっとコーヒーが好きになって、コーヒーを大事にすると思う。そのためには、豆のまま冷凍で流通させるべきだろう。「冷たいまま開けたら、結露してダメになるからできない」は、消費者をバカにした言いわけだと思う。ハーゲンダッツのアイスクリームが全国どこでも買えるのに、冷凍のコーヒー豆が買えないのはおかしい。
posted by あおのり at 22:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲