2022年03月23日

コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか

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著者の川島良彰氏は静岡のコーヒー屋に生まれ、高校を卒業してすぐに生産国のエルサルバドルに渡った。表向きは留学でも、徒手空拳で国立コーヒー研究所に押しかけて研究生になった人だ。UCCの創業社長に見込まれて、ジャマイカ、ハワイ、インドネシアで農園開発を行う傍ら、栽培されなくなった品種を復活させて「コーヒーハンター」としても名をはせた。いまは「ミカフェート」を経営して、生産地と消費地を結ぶ活動をしている。目指すところは、「美味しいコーヒー」を通じて生産者と業者がウィン・ウィンの関係になり、産地が報われてゆくことだと推測する。

暴露本のようなタイトルだけど、コーヒー好きにはとくに驚くことはない。「まあ、そうだろうな」と思うようなことが淡々と、誠実な態度で書かれている。でも多くの人が肝心なことを知らないまま、「コーヒーなんて、こんなもんだよね」とマズイのを飲んでいるし、それを良いことにマズイものを提供しつづける店もある。いや店の人も、コーヒーは鮮度が第一なことを知らないで出している。

川島さんも鮮度が第一なことは知っているはずなんだけど、正直に暴露していないのは、どうしたことか。寅さんが「それを言っちゃあ、オシメエよ」と言うから、なのか。コンビニコーヒーが美味しい理由を「挽きたて淹れたて」と言っているが、実は「煎りたて」が一番の理由だろう。大手ロースターのコーヒーは、焙煎してから流通センターに運び込まれるまでに1か月かかるそうだ。コーヒーは焙煎してから2〜3週間、挽いてしまったらその日のうちが賞味期限、でしょ?

新鮮なコーヒーを流通させれば、みんなもっとコーヒーが好きになって、コーヒーを大事にすると思う。そのためには、豆のまま冷凍で流通させるべきだろう。「冷たいまま開けたら、結露してダメになるからできない」は、消費者をバカにした言いわけだと思う。ハーゲンダッツのアイスクリームが全国どこでも買えるのに、冷凍のコーヒー豆が買えないのはおかしい。
posted by あおのり at 22:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲

2022年01月25日

マンデリン・ミトラ G1

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インドネシアのマンデリンは、スマトラ式と呼ばれる独特の乾燥・精製方法でクセのある香りとクリーミーな舌触りが特徴だ。泥臭い味わいが特徴でもあるけど、これは零細な農家が多くて精製のプロセスが不十分なために起こる現象のようだ。豆自体は気候や土壌に恵まれているのか、大粒のものが多い。昔は「苦味が強くて酸味がほとんどない」と業者の能書きに書かれていたけど、それは業界の都合ででっち上げたウソだと思う。最高品質の「G1」でもカビや虫食いなどの欠点豆がいっぱいなので、普及品のG4になったら、いかにおぞましいのは想像がつく。黒くなるまで深煎りにして、見た目をごまかしていたのだろう。

この「ミトラ」は石光商事のブランドで、特大粒を選りすぐった「ビンタン・リマ」の残り物と思われ、3割ほど安い。ただ「ビンタン・リマ」には欠点豆がほとんどなかったのに、欠点豆が目につく。10kgの生豆をハンドピックして、5%をハネた。その手間と歩留まりを考えれば、お買い得とも言えないようだ。ただ豆自体は「ビンタン・リマ」と同じで、さすがに旧来種のティピカは美味しいと思わせるものがある。シティロースト〜フルシティ・ローストの焙煎で、深いコクとマンゴーのような風味を楽しみたい。
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2021年11月30日

生豆 エチオピア シダモG4

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最近はイリガチェフG1など、ウォッシュト(水洗式)もよく見かけるようになってきたけど、エチオピアの珈琲はナチュラル(自然乾燥)がメインだった。いわゆる「モカ」で、零細な農家が屋根の上に干すせいか、気候のせいかは分からないけど、果肉臭というか発酵臭がする。おなじナチュラルでも、ブラジルは果肉臭がしないのと対照的だ。モカ・フレーバーは味噌の発酵臭にも似ているせいか、日本人で苦にする人は少ないけど、ヨーロッパでは嫌われるらしい。

「シダモ」は産地で、「G4」はグレード。ウォッシュトは未成熟豆が水に浮いて取り除かれるので、欠点豆が少なくなる。「シダモG2」はウォッシュトで、ナチュラルはG4になる。粒が不ぞろいで、乾燥ムラも起こしていて、虫食いやカビや発酵などの欠点豆も多い。ハンドピックの手間はかかるし歩留まりも悪いけど、モカ・フレーバーを求めるとなると、エチオピアかイエメンのモカしか選択肢がなくなる。イエメンのモカは石臼で脱穀する(果肉を乾燥させてお茶にする)ので割れたのやガラス片、小石なども混じってさらに品質が悪くなり、値段はエチオピアの何倍もする。香りが豊かで苦味も軽やかで、特有の美味しさはあるものの、アホらしくなって買わなくなった。

生豆を買うとハンドピックして欠点豆を取り除き、1kgずつに小分けして保管している。今回は10kgをハンドピックして、欠点豆は50gほどしかなかった。これにはびっくり。だいたい500〜700gくらいは欠点豆があったので、どうしたのだろう。輸入商社か問屋か、どこかで電子選別機にかけるようにしたのだろうか。豆の品質が良くなるのは、歓迎だ。
posted by あおのり at 22:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲

2021年10月17日

朝の珈琲

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朝の珈琲は、ブラジルのハイローストと決めている。ブラジルは煎り進めると酸味が早く消えるし、野暮ったい苦味が出てくるので、二ハゼが始まる前に上げている。30gをみるっこの「4」で挽いて90度の湯を520ml注すと、480mlの珈琲ができる。妻が持っていくのに200mlを保温ボトルに詰めて、残りはマグカップ二杯になる。もっと豆を贅沢に使っても良いけど、目覚ましに飲むにはこのくらいが身体に優しくて、ちょうど良い感じだ。

いまの豆は「パライーソ」で、モジアナ産のナチュラル(自然乾燥)。何の変哲もないけど、コモデティのサントスNo.2よりは甘味が妻が持っていき、あって苦味がソフト、欠点豆も少ない。それでも生豆が1kgで800円ほど、焙煎で軽くなることを計算に入れれば、グラム100円で飲んでいることになる。前はもうちょっとお高い「カルモデミナス フローラルブルボン」で、ブルボンならではの良さは感じたけどど、わざとそう精製しているのか?果肉臭がした。パルプド・ナチュラルの「カラメリッチ」は飲みごたえがあるけど、風味が尖ってきて、ナチュラルの複雑な味わいに欠ける。ウォッシュドの豆に近くて、面白くなかった。

以前は別の問屋さんから生豆をとっていて、「ブラジル サンマリノ」をよく焙煎した。カラカラにななるまで樹上で乾燥させて、パルプド・ナチュラルで精製し、大粒の豆だけ選別した豆だ。ここまでやると、砂糖が入っているんじゃないかと思うくらいの突出した甘味で、面白い豆だった。サンマリノはいまでも買おうと思えば買えるけど、値段がずいぶん上がってしまった。自分で焙煎すれば安上がりなのに、コスパについこだわってしまう。貧乏性なのだろう。
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2021年05月09日

「豆」とは言うけれど

コーヒーは、コーヒー「豆」を粉砕して、湯水で抽出した液体だ。
「豆」と言われると、エンドウ豆のようにわっさわっさと成っている姿を想像しがちだ。でも実際は木の実の中に入っている「種」なのだ。

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コーヒーの木を植えて3〜4年経つと、コーヒーチェリーと呼ばれる実がつくようになる。豆を見ると片側が平らになっているけど、これは平らな部分をくっつけて、1つのチェリーに2個入っているからだ。丸くコロンとした豆はピーベリーと呼ばれ、これは1個だけ入っている。実は真っ赤に熟したら収穫されて、果肉をの除去、乾燥、脱穀、精製されて、輸出される。「生豆」は英語で green beans と呼ばれるように、当年産は深い緑色をしている。焙煎されると、おなじみの褐色の「豆」ができあがる。

私たちはとても貴重で、手のかかった「種」を焙煎して飲んでいる。これは、大変なことですよ。たとえば山形のさくらんぼ狩り農園で、お客がペッと吐き出した種を集めて、洗浄、乾燥、焙煎して、「さくらんぼコーヒー」を作ったら、100グラムいくらになるのだろうか。さらにコーヒーは標高の高い(急峻で作業性が悪く、機械も入らない)産地に木を植えて、手入れをして、収穫しなければならないのだ。

1本の木から獲れる生豆(キマメと呼ぶ人もいるけど、正しくはナママメ。「ナマ」は未加工を、「キ」は純粋を指すから、キムスメであってナマムスメではない)は、状態の良い畑で500グラムほどらしい。焙煎豆に至るまでの歩留まりが80%とすると、よくある200グラムのパック、2袋分にしかならない。

うちは夫婦二人だけど、ひと月に消費するのは生豆で2kgくらいだと思う。コーヒーの木、4本分をひと月で飲んでいる計算になる。朝は妻が細い保温ボトルに入れて職場に持っていく190ccと、マグカップ2杯の計480tを淹れるのに、30gの豆を使う。午後からひとり分淹れるときは、13g、二人分淹れるときは24g。自分で焙煎しているから、うんと安くは飲めるのだけれど、景気よく沢山使っているわけではない。もっと沢山使えば美味しくはなるが、頻繁に焙煎しなくてはならなくなるし、何より貴重な「種」をそんなにガバガバ使って良いのか、などと考えてしまうのだ。
posted by あおのり at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 珈琲