
原題は「As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls」で、パット・メセニーが盟友のキーボード奏者、ライル・メイズと出会った「ウィチタ」と、アメリカ中西部の小都市「ウィチタ・フォールズ」をかけた言葉遊びになっている。当時のトリオ・レコードは何を思ったのか、「アメリカン・ドリーム」なる邦題をつけた。B面の1曲目、オートハープのハッピーな響きの「オザーク」が、西池袋のライブハウス「デるブ」でよくかかっていたっけ。
このアルバムはパットとメイズの二人のプロジェクトで、ナナ・ヴァスコンセロス(perc, voice)は1〜2曲に加わってもらう予定だったらしい。それが結果的には、トリオのアルバムとなってしまったほど、ナナの貢献は大きいものがある。ビリンバウや伸びやかなヴォイスが、ブラジル風味をほど良く効かせている。表題曲は20分を超える、壮大なサウンド・ポエムになっている。ビル・エヴァンスに捧げられた「9月15日」も、美しい。どの曲も聴きごたえがあり、ライル・メイズが亡くなってしまった今となっては、彼の代表作に挙げても良い作品だと思う。(As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls / Pat Metheny & Lyle Mays 1980 ECM)
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