
ライル・メイズ(1953〜2020)は、言わずとしれたパット・メセニー・グループをキーボード奏者として担っていた人だ。シンセサイザーをアコースティック楽器のように響かせて曲の雰囲気を作り上げていたし、ピアノによるソロも美しかった。数学や建築にも造詣が深く、実際にプログラミングや設計もしていたらしい。その一方で、ライヴハウスではこんなゴリゴリのジャズも演奏していたとは知らなかった。ボブ・シェパード(ts, ss)を迎えて、マーク・ジョンソン(b)、マーク・ウォーカー(ds)と組んで、PMGの「オーレ」も演奏している。間の活かし方や、ソロの構成力はPMGでの演奏から想像される範囲だけど、ストレート・アヘッドなジャズを演奏してくれているだけで嬉しくなってしまう。(The Ludwigsburg Concert / Lyle Mays Quartet 1993)