2022年09月07日

紫のけむり / クロノス・クァルテット     CD

purplehaze.jpg

クロノス・クァルテットは古典的な弦楽四重奏団の構成でいながら、斬新なアレンジと演奏力の高さで、スティーヴ・ライヒに言わせると「ロック・グループ」なのだそうだ。「紫のけむり」はそれこそロックの名曲、ジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」で、最終トラックに収められている。このアルバムを購入した人の大半は、かれらがあの曲をどう料理したのかを聴きたいのだけれど、そこに至るまでがフィリップ・グラスを始めとする現代曲が続くので、嫌気がさしてしまうかもしれない。何しろ珍無類というか、変わっている。

フィリップ・グラスはまだ有名人の方で、スカルソープ、サリネン、ナンカローとまるで知らない人たちの作品が演奏されている。ナンカローに至っては、もっぱら自動ピアノのためにロール紙に穴を開けて作曲していた人らしい。それでも何度も聴いているうちに、耳になじんでくる。面白味を感じるのは、それからだ。(Glass, Hendrix, Sculthorpe, Sallnen, Nancarrow / Kronos Quartet   Nonesuch 1985)
posted by あおのり at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽

2022年08月04日

吉松隆 プレイアデス舞曲集 / 田部京子    CD

pleiades.jpg

吉松隆が30代の前半に折に触れて書きとめたピアノ曲たちが、プロデューサー磯田健一の目に留まって出版された。1分台のものから、長いものでも3分に満たない曲で構成されているが、7つの旋法、7つの拍子で作られていて、バッハのインヴェンションから着想されたらしい。「古典として弾かれるべき作品」(磯田)が、工学部を中退した作曲家によって書かれて、獣医学科を中退したプロデューサーによって世に出たのは、辺縁からの革新が主流になるという流れに則っているとは言えまいか。田部のキラキラ輝くピアノの音に身を任せていると、コムズカシイことはどうでも良くなる。「夢でも見るように聴いてほしい」と、作曲者も言っている。(Takashi Yoshimatsu  Pleiades Dances / Kyoko Tabe   1996 Denon)

posted by あおのり at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽

2022年07月01日

吉松隆 チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」他 / 藤岡幸夫指揮 BBCフィルハーモニック ピーター・ディクソン(cello)    CD

ケンタウルス.jpg

表題曲の他に「鳥たちの時代」、チカプ(オーケストラ版)を収録。「ケンタウルス・ユニット」の第2楽章は吉松さんが「Like BIWA」(琵琶のように弾いてくれ)とイギリス人のディクソンに注文をつけて、琵琶のCDを渡したそうだ。「琵琶の耳鳴りがしておかしくなりそうだ」と藤岡さんに泣き言を言いつつも、自分の腕前を見込んで書かれた作品に挑んだ。吉松作品には命のきらめき、はかなさを感じることが多いけど、この曲はとくにそんな感じがする。(Takashi Yoshimatsu  Cello Concerto etc. / Peter Dixon  BBC Philharmonic Sachio Fujioka   2004 Chandos)
posted by あおのり at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽

2022年05月21日

アーバー・ゼナ / キース・ジャレット    LP

keitharbourzena.jpg

学生時代は、トリオレコードから「ブルー・モーメント」の名前で売られていた。よく中古盤屋のエサ箱に入っていたから、手放す人が多かったのだろう。少ない予算で一枚でも多く聴きたかった当時でも買わなかったのは、ストリングスが入ったのなんか下らないと思っていたからだし、その青臭い観念がいまとなっては懐かしい。

キース・ジャレット(p)、ヤン・ガルバレク(ts, ss)、チャーリー・ヘイデン(b)と、ムラデン・グテシャ指揮のストリングス(シュトゥットガルト放送交響楽団)によるアルバムで、3曲ともキースの自作曲(オマージュであり、具体的に名前が挙げられているのはチェロ奏者のパブロ・カザルス)で構成されている。グテシャはもともとトロンボーン奏者で、ジャズの編曲を数多く手がけているだけに、ジャズのビートが沁みこんだ指揮をしているように思う。とは言っても、「ジャズ」と言うよりは「現代音楽」なのだろう。

「ジャズとクラシックの融合」は、ボーダーレスのいまとなっては陳腐ですらなく、居場所のない言葉になってしまった。でもこれが吹き込まれた1970年代には、大マジメに取り組む人もいただろうし、それが新しい時代の音楽だと受け止めた人もいたのだろう。いまあらためて聴いてみると、この録音はジャズでもクラシックでもなく、両者を融合したものでもなく、ただひたすらに音楽であると思う。キースは唸らずにキレのあるピアノを弾いているし、ガルバレクはよく歌っている。ヘイデンはA面のみの参加で、しっとりとした音色でソロを聴かせてくれる。(Arbour Zena / Keith Jarrett   1975 ECM)
タグ:ECM
posted by あおのり at 08:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽

2022年03月20日

タンゴ・ゼロ・アワー / アストル・ピアソラ    CD

tangozero1986.jpg

アメリカン・クラーヴェのキップ・ハンラハンによるプロデュース。すべてピアソラの自作曲で、演奏は彼のバンドネオンの他にヴァイオリン、ピアノ、ギター、ベースによる、「ニュー・タンゴ・クインテット」によるもの。打楽器は入っていないがリズムの切れ味が鋭く、音楽がダイナミックに展開する。情熱や哀愁など、豊かな情感も伝わってくる。タンゴという音楽にはなじみがないけど、これは素晴らしい。何度でも聴ける。(Tango: Zero Hour / Astor Piazzolla   1986 Nonesuch)
posted by あおのり at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽