
SHANTIはゴダイゴのトミー・スナイダーの娘さんで、オーディオ雑誌でも大人気のシンガーだった。ファッショナブルな「あっち側」の人がピアニストひとりを伴って、片田舎の公民館みたいなところでライヴをしてくれてからもう何年も経つ。「あっち側」とはこっちの勝手な思い込みで、聴いてみれば骨の髄からのミュージシャンで、楽しいひと時を過ごすことができた。大人気のシンガー「だった」と過去形になっているのは新作アルバムから遠のいていることもあるけど、近年はヒーラー、セラピストとしての活動に力を入れているようだ。
これは、その会場で買い求めたアルバム。スタンダードナンバーの「だれにも奪えぬこの想い」や「ハウ・インセンシティヴ」、大澤誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」(英語)などに、自作曲。新しいけど大人が聴きたくなるような、上質なポピュラー・ソングが詰まっている。妙に作ったアレンジもないし、SHANTIのヴォーカルがちょっとハスキーな地声なのも良い。演奏も歌唱も素直で、それが彼女の持ち味なのだろう。(Cloud9 / Shanti 2012 Savoy)