
意外にも、シューマンはピアノ協奏曲を1曲しか残していない。でもオーケストレーションがくどく感じられる交響曲より、ずっと聴き易いと思う。ベートーヴェンは第5番「皇帝」。クライバーンは前に聴いた協奏曲よりも、リラックスして弾いているようだ。チャイコフスキーはソ連からの凱旋録音だったし、ラフマニノフやプロコフィエフは難曲、ということで気負っていたのだろうか。踊っているようなピアノが印象的で、60枚セットの最後を飾るにふさわしい名演と言っても良いのではないだろうか。
Living Stereo 60 CD Collection の特徴として、
・録音は総じて素晴らしい。マスタリングも自然で、いわゆるラウドネス競争に巻き込まれていない。
・すべてスタジオでのセッション録音で、ライブ盤はなし。
・LP2枚を1枚にまとめた盤もあり、実質のボリュームは60枚以上。
・指揮はミュンシュ、ライナー、ポントゥー、オーケストラはボストンとシカゴ、ピアノはルービンシュタインとクライバーン、ヴァイオリンはハイフェッツなど、豪華な顔ぶれ。
・厚紙のジャケットにCDがハダカで入っている。
・重低音域でノイズが乗る盤(17 ボレロなど)が2〜3枚あった。サブ・ウーファーを切って聴けば気づかないレベル。
・選曲は録音の凄さを売りにしているためか、大編成のオーケストラに偏っている。ベルリオーズやリヒャルト・シュトラウスはこれでもかと入っているが、ハイドンはゼロ、モーツァルトは1曲、弦楽四重奏やピアノ三重奏はゼロ。軽音楽やマーチは要らないが、色々な人が買うのだろうから外せなかったのも分かる。
こんなところだろうか。