2023年01月02日

ステアケース / キース・ジャレット    2LP

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「ケルン・コンサート」の一年後に発売された。キースがフランスで映画音楽の仕事をしているときに、どうしても弾きたくなってスタジオに飛び込んで録音したという作品。A面「ステアケース」、B面「アワーグラス」、C面「サンダイアル」、D面「サンド」と、それぞれが2〜3曲で構成されている。小品集の趣きがあるが、あらかじめモチーフが用意されていたのかもしれない。ライブ盤のように、瞑想で高みを目指すような感じはあまり受けない。印象に残るのは、地中海気候の乾燥した空気と、まぶしい光だ。……と聴いているうちに、終わりの「サンド パート3」がコーダ(終結)になっていることに気づく。小品集というよりは、組曲と呼んだ方が良いのかもしれない。

このアルバムは学生時代に買って、さんざん聴いてきた。扱いがぞんざいだったせいもあって、チリが溝にこびりついている。クリーニング液とペーパーで掃除をしても、ちょっとやそっとではノイズが取れない。CDも持ってはいるけど、どうしたことかピアノの音色が突き刺さるように感じられて閉口する。こういうときには、オルトフォンのSPU#1Sの出番だ。4グラムの針圧と丸針のおかげで、ノイズがかなり減ってくれる。レンジは狭いけれど、艶とコクのある音。これはこれで良いものだと思う。(Staircase / Keith Jarrett  ECM 1977)
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2022年12月19日

サウンド・アンド・シャドウズ / ラルフ・タウナー    LP

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ラルフ・タウナー(g, p)は「オレゴン」とは別に、「ソルスティス」というグループでも活動していた。メンバーはヤン・ガルバレク(ts,ss,fl)とエヴァーハルト・ウェーバー(b, cello)、ヨン・クリステンセン(ds)と、当時のECMオールスターと言っても良い。ECMには2枚のアルバムを残しており、これはその二枚目にあたる。光と闇、幽玄と熾烈、相反するものが交錯するような、深みを湛えた世界だ。鼓舞されたガルバレクがいつになく熱くブロウする場面もあるし、沈黙に切れ込みを入れるタウナーもスリリングで、四人が音に没入している。(Sound and Shadows / Ralph Towner Solstice  1977 ECM)
タグ:ECM
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2022年12月17日

ルビサ・パトロール / アート・ランディ    LP

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アート・ランディ(p)は、「ルビサ・パトロール」というグループを作って活動していた。つきあっていたのはマーク・アイシャム(tp, flh, ss)、ビル・ダグラス(b, fl)、グレン・クロンハイト(ds, pec)の三人で、ECMには二枚のアルバムを残している。マーク・アイシャムという人はローリング・ストーンズやジョニ・ミッチェル、ヴァン・モリソンなどのアルバムにも参加しているが、映画音楽が本業でシンセサイザー奏者でもあり、1990年にはグラミーを受賞している。トランペットの澄んだ音色はローノートでも失われておらず、相当なテクニシャンだと思う。

定型的なジャズを足場にして、民族音楽を探索しているような感じだ。「ルビサ」は中近東を原住民とともに探検した、アルフォンス・ルビサからとられたそうだ。退屈に思う人はいるだろうけど、ハマる人はハマる。とくにお終いの「A Monk In His Simple Room」は言葉に尽くしがたい静寂と美を感じさせる演奏だと思う。録音はオスロのタレント・スタジオで、ECMらしい透明感と響きを感じさせる。(Rubisa Patrol / Art Lande   1976 ECM)
タグ:ECM
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2022年12月05日

インプロヴィゼーションズ / グローブ・ユニティ・オーケストラ   LP

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渡り鳥は北西(ヨーロッパ)を目指す。このジャケットに惹かれて買ってしまった。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(p)、マンフレッド・ショーフ(tp)、ケニー・ホイーラー(tp)、アルバート・マンゲルスドルフ(tp)、ポール・ラザフォード(tb)、ギュンター・クリストマン(tb)、エヴァン・パーカー(ss, ts)、ゲルド・ドゥデク(ss, ts, fl)、ペーター・ブロッツマン(as, ts, bcl)、ミシェル・ピルズ(bcl)、トリスタン・ホンジンガー(cello)、ペーター・コヴァルト(tuba, b)、デレク・ベイリー(g)、ブッシ・ニーベルガル(b)、ポール・ローヴェンス(ds)と、総勢15名のグローブ・ユニティ・オーケストラ。ドイツのトンスタジオ・バウアーでの録音だけど、ECMの傍系レーベル、JAPOから発売されている。ECMのディストリビューターだったトリオレコードは、律儀にも「TRIO」ではなく、傍系レーベル?の「NADJA」として発売している。

「NADJA」って「NANJA」のもじりではないのか。「なんじゃコレは?」の不思議というか、迷惑なというか、そういう音楽だ。ヨーロッパの人たちはフリー・フォームになると、徹底して自分勝手になる印象だ。耳障りのよいメロディをカケラにして押し込んだり、混沌から構成を作り上げたり、決め技を織り交ぜたりはしない。「合わせてはいけない」でやっているとしたら、それはフリーとは言えないのではないか……なんて意地悪な考えも浮かんでくる。インプロヴァイザーとして名を成した人たちが参加しているので、資料的価値はある。あるいはこれをカラオケにして叫ぶとか、ノイジーなギターをかき鳴らすなどしたら発散できるだろう。時代が生んだ、いまとなっては望むべくもない一枚かもしれない。(Improvisations / Globe Unity Orchestra   1976 Japo)
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2022年12月03日

ソロ / ジミー・レイニー    LP

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ジミー・レイニー(1927〜1995)も、息子のダグ・レイニー(1956〜2016)ともに、優れたジャズ・ギタリストだった。親父は偉かったが息子は……のパターンではなかっただけに、ダグの早世(心不全)こが惜しまれる。ジミー自身もアルコール依存症で引退していた時期があり、これは復帰してからの作品だ。プロデューサーからソロ・ギターのアルバムにしようと提案されて、考え込んでしまったそうだ。「ギター1本で40分は長すぎる!」と。

ジョー・パスのように、コードもベースラインも1本でホイホイ弾くスタイルを持ち合わせていなかったということだろう。それはジミーのテクニックがないということではなくて、あくまでシングルトーンで妙味を聴かせるタイプだったからだろう。5度低くチューニングした「Fギター」(バリトンギター?)と、多重録音によるデュエットを聴かせる曲もある。もちろんギター1本で勝負している曲もあって、ファンとしては色々聴けた方が楽しいに決まっている。しみじみとした、滋味(ジミー)にあふれたアルバム。(Solo / Jimmy Raney   1976 Xanadu)
posted by あおのり at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1970年〜