
ECMからリリースされた、ラルフ・タウナーの二枚目のアルバム。6弦のクラシック・ギター、12弦ギター、ピアノ、パーカッションによる演奏で、多重録音も使われている。浮き上ってくるのはタウナーが、とても優れた作曲家であるということだ。おそらくタウナーのアイデンティティは作曲家にあって、ECMでの諸作品やグループ「オレゴン」の活動は、自作曲のプレゼンテーションではないだろうか。
トリオレコードのLPには、故野口久光先生のライナーノートがついている。「彼が従来の一般的な常識、通念によるジャズの形式、演奏方法にこだわっていないこと、ジャズもまたクラッシック系の現代音楽、広義のコンテンポラリー・ミュージックの一翼を担うべきものだという発想、姿勢、演奏行為から生み出された音楽であるということである」−−その後の50年間のタウナーの軌跡をながめると、まさにその通りだと思う。野口先生の慧眼、畏るべしというべきだろう。(Diary / Ralph Towner 1973 ECM)
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