2022年09月26日

シーメンスの鉄仮面

ブログ「オーディオベースマン 見たり聴いたり」の「シーメンスのフルレンジ4発スピーカー」で取り上げられていた、シーメンスの「鉄仮面」。お店で聴かせていただいたので、その感想をお伝えします。

鉄仮面は後面開放型の箱にユニットが1発ついているのは見たことがあるけど、2発ついているのは初めて見た。もう箱なんだか、屏風なんだか、壁なんだかわからない大きさに達している。これを置くには当然、広い空間が必要。しかも壁にびったりくっつけてしまっては、後面開放の良さが半減してしまうだろう。

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「鉄仮面」は金属製の音響レンズがついている、同軸型10インチのユニット。


初めはキース・ジャレットのピアノ・トリオ。………古色蒼然としている。再生周波数帯域はいわゆるカマボコ型で、細かい音に敏感に反応しているような感じもなく、ハイファイとは真逆の方向だ。透明感のない、ホコリっぽい音。クラシックのオーケストラも、スピーカーが勝手に時代をつけてしまう。とても新しい録音とは、思えない。

それはそうなんだけど……。もしぼくがジャズ喫茶をするのだったら、このスピーカーで鳴らすのが良いと思った。骨格がしっかりしていて、伸びやかな開放感にあふれた音なのだ。大音量にしてもやかましくならず、小音量でも音の輪郭が崩れない。生き生きと音楽を聴かせてくれるのは、「箱」の内圧でユニットが抑制されるのではなく、楽器のようにコーン紙が自由に動く構造だからだろう。ありがたいのは、何時間聴いていても聴き疲れしそうにないことだ。

だれか、家に置こうっていう人はいませんか? 
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2022年09月04日

あらえびす記念館のウェストミンスター・ロイヤル

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岩手県の中央部、紫波町(しわちょう)に「あらえびす記念館」がある。あらえびすとは「銭形平次捕物控」でおなじみの小説家、野村胡堂が音楽評論をするときのペンネーム。胡堂はSP盤時代からのクラシックレコード蒐集家でもあり、館内にはそのコレクションのほかに、蓄音機の最高峰とされるクレデンザも置かれている。舟形の高い天井でを頂くホールには、タンノイ・ウェストミンスター・ロイヤルが設置されている。

「音」そのものに関して言えば、うちのシステムの方がハイファイだ。鮮度感があるし、周波数レンジが広くて、各楽器がはっきり聴き分けられる。ウェストミンスター・ロイヤルは案外にジャズもイケて、ドラムの音も前に飛んでくる。JBLパラゴン、アルテックA7、シーメンス鉄仮面……と、往年の名機がすべからくそうであるように、色づけされている。でもウォームで大らかな音は、聴き疲れしない。何よりホールの響きが素晴らしく、定在波の影響を感じないというか、すべての音がそのまま消え行っていくような印象だ。

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※クリックすると鮮明に読めます。

この9月から来年の3月にかけて、「蔵出しアナログ・レコードの時間」と称して、クラシック音楽の選りすぐりの音源を紹介するイベントが開催される。オーディオの音はひとりで聴く時代なのかもしれないけど、同好のリスナーと時間を共有するのも悪くない。大勢の方に、楽しんでいただけるのではないかと思う。
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2022年08月11日

グラド リファレンス

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アメリカの「グラド」(Grado)はヘッドフォンのメーカーとしてもおなじみだけど、長年にわたってカートリッジを作り続けている。創業者はMC型のカートリッジを開発したものの、限界を感じてFB(フラックス・ブリッジ)型を開発したとのことだ。MM型はカンチレバーの本体側に磁石を、MC型はコイルをつけているけど、それが自由な動きを妨げているので、円盤を動かすことで発電する方式らしい。MI(ムーヴィング・アイアン)型の一種と言っても良いのだろう。

安価な「プレスティッジ・シリーズ」は金属製のボディに、樹脂製の針がついている。この「リファレンス・シリーズ」はエポキシ樹脂を充填して、さらに木製のボディをかぶせているので、付帯音を排除する発想のようだ。実はいただきもので、シュアーのタイプVでジャズを聴いている方が「おとなしくてネ。クラシックには良いだろうけど」とくださった。ぼくは得体の知れないシュアーのカートリッジが遊んでいたので、差し上げた。

木製のボディなので、山本音響工芸の木製のシェルに取りつけてある。ぼくのターンテーブルは、シートを厚いフェルトから、47研究所の薄い革製に換えた。アームの水平バランスが取れなくなって、2mmのカーボン製スペーサーをかましてある。見た目はスッキリしないけど、付帯音が取れて良い感じだ。音質はシュアーと比べると、たしかにおとなしい。高音域のシャカシャカした感じがなくて、濃密な中音域を楽しめる。ジャズでも悪くはないけれど、ヴォーカルにはとても良い。クラシックのレコードは、持っていないので……。
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2022年07月28日

10cm2ウェイでマーラーを聴く

サブシステムのスピーカーは、ウーファーの口径が10cmしかない。ジャズやロックは良いかもしれないけど、大編成のオーケストラは聴けたもんじゃないだろう……と思う人が多いと思う。とくにサン・サーンスの「オルガンつき」とか、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とか。ふだんは窓際に寄せているスピーカーを、セッティングするとこんな感じになる。

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マーラーの交響曲第1番「巨人」、バーンスタイン指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ交響楽団のCDをけっこうな音量で聴いてみた。サブウーファーを組み込んだメインシステムに比べると、さすがにコントラバスや大太鼓など低音楽器の迫力や、ホールトーンの響きは出ない。そこは残念なところだけど、逆に点音源から音が広がって楽器がしっかり定位する感じはある。気になったのは意外にトゥイーターの性能で、メインで使っているクリプトンのリングトゥイーターの滑らかな音に慣れてしまうと、DALIのソフトドームのシャカシャカというか、突き刺すような感じが耳につく。

たとえば広い部屋に置かれたタンノイのオートグラフと比べると、心地よく鳴り響く感じはまるでない。まあ全然ないんだけど、オートグラフで気になる音の濁りがなくて切れ味の良い鮮明な音だ。どちらが良いというのではなくて、オートグラフがコンサートホールの疑似体験なら、このシステムは作品をくっきり聴くという感じだ。低音のレンジや量感があると、聴きごたえというか、お腹いっぱいの感じは出て来る。それもオーディオの楽しみのひとつであることは否定しないけど、低音の量感を追い求めてしまうと、音楽が聴こえなくなる、ということもあると思う。

話は横道にそれるけど、先日NHK-BSで放送された、広上淳一指揮京都市交響楽団の「巨人」の方が演奏も録音も良かったような気がする。広上さんのあっけらかん体操みたいな振り方はいまいち興ざめだけど、相当に細かいところまで練りこまれている印象をもった。録音はハープの弦が震えるのがはっきり聴こえて、鳥肌ものだった。
posted by あおのり at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

サブシステム

実は、10畳ほどの仕事場にもオーディオ装置を置いている。「男の隠れ家」ではないけれど、書斎兼リスニングルームにもなっている。いわゆる「離れ」なので爆音でもOKなのだが、冷蔵庫みたいなスピーカーは置けない。10cm2ウェイ、これがせいぜいのところなのだ。もとはDALIのRoyal Menuet 2なのだけど、箱だけウォルナットの無垢板でLinfof工房さんに作り直していただいて愛用している。内側に溝を彫りこんで定在波を防いだ結果、吸音材はゼロで済んで、恐ろしく鳴りっぷりが良くなった。

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スピーカーを岐阜に送って、待つこと2年近く(だったっけ?)。他にも注文待ちのお客さんも多いようだし、板を乾燥させる時間もあるので、そうすぐには出来ない。いまの時代、一点ものを誂えて待つというのは、最高の贅沢の一つだと思う。

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これをドライブするアンプはオルトフォンLMA-80。おそらくは前園さんが企画したアンプで、40Wの薄型だけど、医療用のトランスを積んでいる。低能率のスピーカーでもスッと音が出るのが凄い。ターンテーブルはTEAC TN-550、CDプレイヤーはPioneer PD-30AE。最近のCDプレイヤーは、安っぽくても驚くほど音質が向上している。

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posted by あおのり at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ