
アンドラーシュ・シフ(p)が、アビー・ロード・スタジオで弾き振りをしたピアノ協奏曲。オーケストラもピアノも、ブラームスと同時代の楽器が使われている。シフが記したライナー・ノートによると、オーケストラもピアノも大型化して騒々しくなったブラームスのピアノ協奏曲を、本来の音量に戻そうとする意図があったようだ。たしかに<ブラームス=重厚な音楽>と捉えているオーケストラ演奏が多くあり、その愛好家がいる一方で、「ブラームスは室内楽の方が素晴らしい」という人もいる。この録音には広がりと奥行きがあり、透明感のある世界に包まれる。(Johannes Brahms Piano Concertos / Andras Schiff Orchestra of the Enlightment 2021 ECM New Series)