
カウント・ベイシー(p, 1904〜1984)は、1936年にニューヨークでオーケストラを結成して、1937年にデッカからSP盤をリリースした。この3枚のCDはアウト・テイクも含めて、当時のデッカに録音されていた音源をまとめたもので、GRPレコードがデジタル技術を用いて聴き易くしている。フューチャーリングメンバーとしてレスター・ヤング(ts)、ジミー・ラッシング(vo)、バック・クレイトン(tp)、ハリー・エディソン(tp)、ハーシャル・エヴァンス(ts)、ヘレン・ヒュームズ(vo)がクレジットされているが、彼らを盛り立てているのが、言わずと知れたオール・アメリカン・リズム・セクション。猛烈にスイングして、村上春樹さんの言葉を借りれば「無反省に」ブロウしている。
ぼくのように後からベイシー楽団の録音を聴き始めた人間には、ベイシーはあんまりピアノを弾かない人、というイメージかもしれない。シングル・トーンでポロ、ポロと弾いてオイシイところをみんな持って行く、そんな感じだ。でもせっせと弾いている曲に耳を傾けると、もう呆れるほど巧い。タッチそのものが美しいし、軽やかに、踊るように、ピアノを弾いている。(CONT BASIE The Complete Decca Recordings 1992 GRP Records)