
キース・ジャレットはごく限られた人としか、共演していない。ヨーロッパ・クァルテット別にすれば、ベースはチャーリー・ヘイデンかゲイリー・ピーコック、ドラムはポール・モチアンかジャック・デジョネットだ。管楽器ではデューイ・レッドマン(ts)という御しがたい不思議ちゃんと何枚もレコードを作った。キースのピアノ・トリオをもっと聴きたいというファンは、沢山いたはずだ。だからピーコックとデジョネットと組んだこのアルバムが出たときは、インパクトがあった……にしても、何十枚もの録音を残すことになろうとは、当時はだれも想像していなかった。
あまり知られていない曲を取り上げたかと思えば、手垢のついた曲はだれも聴いたことがないように演奏する。ときにはキースの自作曲も演るし、フリーでも演奏する。同じメンバーで何十年も続いたのは、三人の演奏力の高さとコンビネーションだろう。15分に及ぶジャズ・ロック調の「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」も、実に良いなあと思って聴ける。(Standards, Vol. 1 / Keith Jarrett 1983 ECM)
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