
渡り鳥は北西(ヨーロッパ)を目指す。このジャケットに惹かれて買ってしまった。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(p)、マンフレッド・ショーフ(tp)、ケニー・ホイーラー(tp)、アルバート・マンゲルスドルフ(tp)、ポール・ラザフォード(tb)、ギュンター・クリストマン(tb)、エヴァン・パーカー(ss, ts)、ゲルド・ドゥデク(ss, ts, fl)、ペーター・ブロッツマン(as, ts, bcl)、ミシェル・ピルズ(bcl)、トリスタン・ホンジンガー(cello)、ペーター・コヴァルト(tuba, b)、デレク・ベイリー(g)、ブッシ・ニーベルガル(b)、ポール・ローヴェンス(ds)と、総勢15名のグローブ・ユニティ・オーケストラ。ドイツのトンスタジオ・バウアーでの録音だけど、ECMの傍系レーベル、JAPOから発売されている。ECMのディストリビューターだったトリオレコードは、律儀にも「TRIO」ではなく、傍系レーベル?の「NADJA」として発売している。
「NADJA」って「NANJA」のもじりではないのか。「なんじゃコレは?」の不思議というか、迷惑なというか、そういう音楽だ。ヨーロッパの人たちはフリー・フォームになると、徹底して自分勝手になる印象だ。耳障りのよいメロディをカケラにして押し込んだり、混沌から構成を作り上げたり、決め技を織り交ぜたりはしない。「合わせてはいけない」でやっているとしたら、それはフリーとは言えないのではないか……なんて意地悪な考えも浮かんでくる。インプロヴァイザーとして名を成した人たちが参加しているので、資料的価値はある。あるいはこれをカラオケにして叫ぶとか、ノイジーなギターをかき鳴らすなどしたら発散できるだろう。時代が生んだ、いまとなっては望むべくもない一枚かもしれない。(Improvisations / Globe Unity Orchestra 1976 Japo)