
ジミー・レイニー(1927〜1995)も、息子のダグ・レイニー(1956〜2016)ともに、優れたジャズ・ギタリストだった。親父は偉かったが息子は……のパターンではなかっただけに、ダグの早世(心不全)こが惜しまれる。ジミー自身もアルコール依存症で引退していた時期があり、これは復帰してからの作品だ。プロデューサーからソロ・ギターのアルバムにしようと提案されて、考え込んでしまったそうだ。「ギター1本で40分は長すぎる!」と。
ジョー・パスのように、コードもベースラインも1本でホイホイ弾くスタイルを持ち合わせていなかったということだろう。それはジミーのテクニックがないということではなくて、あくまでシングルトーンで妙味を聴かせるタイプだったからだろう。5度低くチューニングした「Fギター」(バリトンギター?)と、多重録音によるデュエットを聴かせる曲もある。もちろんギター1本で勝負している曲もあって、ファンとしては色々聴けた方が楽しいに決まっている。しみじみとした、滋味(ジミー)にあふれたアルバム。(Solo / Jimmy Raney 1976 Xanadu)