
コルトレーンのアトランティック盤では「ジャイアント・ステップス」と「マイ・フェイバリット・シングス」がつとに有名で、このアルバムは地味な存在だ。コルトレーンは「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる、絶え間なく音を散りばめるような奏法で、ジャズを難しくしていたことは否めない。なのでブルーズという簡明な枠組みの中で、コルトレーンの情念を注ぎこませるという目のつけどころは悪くないし、結果的に聴きやすいアルバムに仕上がっている。だけど「ジャイアント・ステップス」に収録されている2曲のブルーズ、「ミスター・P.C.」と「カズン・メアリー」に比べて印象が薄いのが残念だ。それはこのアルバムだとブルーズばかりが続くからなのか、共演メンバーの違いによるものなのか、何なのだろう? ルーズでリラックスした雰囲気に浸りたいときには、良いアルバムなのかもしれない。(John Coltrane Plays The Blues 1960 Atlantic)
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