2022年04月22日

2022年5月号

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表紙の用紙が、ECMを特集した2月号と同じマット紙になっている。先月号は普通のコーティング紙に戻っていたので、使い分けをしているのだろうか。マット紙の方がしっとりして良い感じで、他のオーディオ誌と差別化する意味でも、マット紙を続けて欲しいと思う。

特集は「メーカー試聴室から学ぶ 再生メソッド」。アキュフェーズ、エソテリック、日本音響エンジニアリング(旧ヒビノ)、フェーズメーション、フォステクス、マランツ、ラックスマン各社の試聴室の取材を行っている。さすがに凄いな〜と思うリスニングルームで、天井が高くてエアボリュームが大きく、構造的に定在波対策されていて、堅牢な造りで振動を排除している。たしかに素晴らしい……のだけれど、これらを参考にするとなると物入りだ。ハードはとてもかなわくても、ラックスマンのケーブルの扱い方とか、ソフト面で参考になればもうけものだ。

いっそのこと、自社試聴室で仕事として音楽を聴いている人たちが、プライベートではどのようなオーディオ環境を調えているのか、そこまで踏み込んで取材していった方が、参考になるかもしれない。案外にラジカセやブルートゥーススピーカーで聴いていて、「こっちの方が仕事っぽくなくて、リラックスして聴けるんですよねえ……」なんて人もいるかもしれないけど。

いずれオーディオ用に設えた「リスニングルーム」を造らないとダメ……といった観念はない方がよいと思うのだけれど、どうだろうか。もちろん同誌そう主張しているわけではないけど、まだ足を踏み入れていない人はそのように受け取ってしまうかもしれない。庶民は住環境に合わせていくしかないのだから、たとえば木造アパートの一室、分譲マンション、隣家がすぐそばに建っている持ち家、あるいはデスクトップ、それぞれの環境でどう満足していくか、そういう特集の方が健全な気がする。たとえばフルレンジユニットで、位相がそろった反応が速い音なら、低音がボンボン出なくても幸せになれるるとか、そういう観点は必要だと思う。

「学生対抗スピーカー甲子園」は、楚々とした美女が登場するのは嬉しいけど、作品と一緒の写真ばかりでは、ジェンダー的にも問題はありはしないだろうか。自作曲のウクレレ弾き語りを披露しているくらいの人なら、その作品をそれぞれのスピーカーで聴いてコメントしてもらえば良いのにと思う。オッサン評論家よりも、「自分の声をどのスピーカーで聴きたいか」の女性の方がよほど鋭い評価ができるかもしれないのに、飾り物にしておいてはもったいない。

「Stereo試聴室」では、目の玉が飛び出るような価格の製品はないけれど、それにしてもオーディオが高くなったというか、いやそれよりもデフレと企業の内部留保で日本人の購買力が下がったというか、トホホなことを感じさせられる。ELACのブックシェルフスピーカー、Cocentro S503はペアで¥1,430,000であって、断じて¥143,000ではない。どこがどうなってそんなに高くなるのか、技術的な側面からの解説が欲しいものだ。「特性を測って、1000個に1個の割合でユニットを選別している」とかね。

「音楽人巡礼」は、出ました田中伊佐資さん。この人の文章は読んでいて、気持ちが良い。屈折したところがなくて、音楽とオーディオを楽しんでいるのが伝わってくる。「いい音 いい場所 いいお店」の「Cafe Accha」は、こういうお店だったらぜひ行ってみたい。なかなか東京に行く機会がないけど、亀戸とかあそこらへんの雰囲気は好きだ。60歳を機に店を出したと言う店主氏の生き方も、素敵だと思う。

鈴木裕さんの「仏・アトール コアモデルアンプの実力に迫る」は、リビングでオーディオを楽しんでいる人には参考になると思った。福田正光さんの「オーディオの新常識」では、5万円のレコードプレイヤーと、4万円のワンボディコンポをテストしている。峰尾昌男さんの「火の鳥電機」は、骨董品の真空管アンプの修理。こういう記事の方が、付録のラックスマンのキットやスピーカー自作記事と調和すると思う。「生活空間のオーディオで音楽を聴く人」をターゲットに絞っていった方が、読者の共感を呼ぶように思うのだ。だから187万円のフォノイコライザーとか、1億円超のスピーカーとか……もう、いいか。次号の「ライブ盤が好きだ」も、期待しています。
【音楽之友社 月刊 stereoの最新記事】
posted by あおのり at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽之友社 月刊 stereo
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