ぼくが通っている床屋さんは、エリック・クラプトンが好きでギターもたしなんでいる。でも音楽を聴く装置には、こだわりがないようだ。「オーディオって、お金かかるんでしょう?」と言われると、答えに窮する。「かかる」のか「かける」のか、述語にこだわると何とも言えなくなる。「そりゃかける人はいますよ、うん千万円と。でもそんなににかけなくても、オーディオは楽しめます。でも、10万円はかかるかな……」みたいな返事になる。
オーディオの値段は、「クルマの1/3」くらいではないだろうか。10万円のオーディオはCDレシーバーとスピーカー、あるいはDACとアクティブ・スピーカー、それらにスタンドを足すくらいだろう。クルマで言えば、そこいらの中古車屋で野ざらしになっている30万円クラス。それでも車検には通るし、日常の足にはなってくれる。ちなみに自分がいま乗っているクルマも、39万円で売りに出ていた。気に入っていたマツダのベリーサが17万kmでエアコンが壊れたので、7万Kmのに買い直したのだった。この頃はちょいとガタが来ているけど、実用にはとくに不満はない。
50万円のオーディオは、車で言えば150万円。新品でも中古品でも、選択の幅が広がる。実用品としても、妥当なレベルではないだろうか。100万円のオーディオは車で言えば300万円で、ここから上になると趣味性が高くなる。たとえばスピーカーはB&Wのハイテク・ダルマ、アンプはセパレート……と構成していくと、800万〜1,000万くらいになったりする。クルマで言えば2,000万円を超えて、ポルシェやフェラーリのクラスになるんだろうか。もう、完全に趣味の世界だ。
ただあまり高額になってくると、ポルシェで走りたいのかポルシェが欲しいのか、趣味なのか所有なのかがはっきりしなくなる。バイクのハーレーなどは、ライフスタイルや愛好者コミュニティを提供して売っている。「持っているだけで満足する」のは趣味と言うよりは、コレクションだろう。「機材をコレクションするのが趣味」ということになるのだろうか。どの世界でも、コレクションには軍資金がモノをいう。美術品の蒐集に比べたら、オーディオなど大したことはない。価値はどんどん下がっていくから、投資にはならないけど。
結局何を言いたいかと言えば、「かけようと思えばかけられるけど、むやみにお金がかかる趣味ではありません」ということかな。
2022年04月09日
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