2022年04月06日

クール・ストラッティン / ソニー・クラーク    LP

coolstruttin.jpg

「ブルーノート」のみならず、「ジャズ」のレコードとして最も人気の高い一枚。もし完璧に保存されて手つかずのオリジナル盤がこの世にあるとしたら……取引価格は3ケタ万円に行くと思われる。でも初回プレスは千枚で、その多くは売れ残ってしまったと言う。いくらジャケットがイカしていても、最初に手を伸ばしたリスナーの評価を得られなかったのだろう。

当時のコンボで最高の人気を誇っていたのはマイルスのクインテットで、そのリズム・セクションだったポール・チェンバース(b)とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)が参加している。アート・ファーマー(tp)は、たくましく伸びやかなトーンはマイルスよりも巧い。ここまでは良くても、ソニー・クラークのタメの大きなピアノと、ジャッキー・マクリーンの粗削りで調子外れなアルトサックスがウケなかったのではないだろうか。マクリーンはマイルスの弟分のような感じで可愛がられていたらしいが、コンボの定位置にいたのはテクニシャンのキャノンボール・アダレイだった。

日本のファンにはマクリーンびいきで、その多くはマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」にヤラれている。音程がフラットしても気にならない、あるいはブルーズ・フィーリングとして好意的に受け止めるのだと思う。マクリーンの名誉のためにつけ加えると、1980年代にライブハウスで聴いたときには、生音のデカさと輝きに圧倒された。やはり凄い人なのだ。

このアルバムに収められているのは4曲で、長めということはラジオにかかりにくい。またすべてがソニー・クラークの自作曲で、そのタフで粘っこい感覚は、家族や仲間と楽しむような音楽ではないような気がする。ヒマを持て余した大学生が、裸電球の4畳半でどっぷり浸るのに向いている。スピーカーは自作のフルレンジで……って、それはまさに自分のことだった。

クラークとマクリーンは26歳、ファーマー28歳、チェンバース22歳、フィリー・ジョーは34歳。音楽の次に考えることは大体……の年代だ。イキの良い演奏から元気をもらえれば、それで十分だ。(Cool Struttin' / Sonny Clark  1958 Blue Note)
タグ:BLUE NOTE
posted by あおのり at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜
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