ブログのご縁で、「Bitpp」さんのお宅におじゃますることになった。リフォームして天井板を上げられた応接間にはタンノイのアーデン(上にはタンノイのスーパーツイーター)とアキュフェーズのパワーアンプA-70が鎮座して、となりの和室にはアキュフェーズのDP-1000(トランスポート)、DC-1000(DAC)、C-3850(プリアンプ)、そしてアイ・オー・データのfidata(NAS)、スペックのRMP-UB1、アキュフェーズのクリーン電源がラックに収まっていた。
BitppさんはDSDのハイレゾファイルをダウンロードされていらっしゃるので、CDとの音の差を聴かせていただいたりした。実はそこは、さして関心事ではなかった。どのみちLPとCDの円盤系にどっぷりつかっていて、そう易々とは抜けられないのが分かっている。PCオーディオから尻尾を巻いて逃げ出したクチなので、ネットオーディオには及び腰なのだ。
衝撃的だったのは、38cm口径のアーデンから広がる音の波が実に優しかったこと。このスピーカー、オーディオショップで試聴させてもらったときは、まるで良さが分からなかった。音質を云々する前に、音像の圧迫感が苦になったのだ。実際は壁から離して置いているのに、大型スピーカーを壁際に置いたような「面」で押してくる感じ。ショップの広々とした空間ですらこれなのに、家に置いたら(置けないけど……)いったいどんなになってしまうのだろうと思ったのだ。それが屈託なく、のびやかに鳴っている……。同じスピーカーでも、こうも違うものか。オーディオは奥が深い。
午後は、ぼくの家に来ていただいた。音に包まれるようなBitppさんのオーディオとは違って、音に向き合うニアフィールド・リスニングだ。主として「独奏やジャズ、ヴォーカルはフルレンジで、オーケストラは2ウェイ+サブウーファーで」の違いを聴いていただいた。あちらのお宅は入力機器もアンプもハイエンドなので、その違いは音にも出ていたけど、それなりに楽しんでいただけたかとは思う。オーディオ談義になると、つい「高音」がどうの「低音」がどうの、みたいな話になりがちだ。でも音の広がり、響き(余韻)、音の実体感、演奏家との距離感、そういったことに目を向けることで、より深い話になっていくのだろう。
2021年11月22日
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先日はこんな自粛蔓延の世相の中、わざわざ拙宅に足を運んで頂きありがとうございました。
色んな意味でとても有意義な時間を過ごせたと思います。
その中でも特に感慨深かったものをいくつか書いてみます。
ARDENに対するあおのりさんの評価が『音の波が優しい…』。
これは私にとって最高の褒め言葉です。
これこそが正に私が目指していた音なんです。
思わず木に登ってしまいそうになったじゃないですか!
あおのりさんは、人を持ち上げるのお上手…と、メモしておきます。
ネットワークオーディオを人に…ましてあおのりさんに勧める気は毛頭ないです。
同じ音源を聴く限りにおいてはCDの方が音が良いですし、ましてレコードに至ってはまるで違う世界ですし、少なくないコレクションを持っているのであれば、わざわざ音質が劣る(私の経験では)ネットワークオーディオにシフトする必要性は全くないと思います。
ただ、その実態…例えば、追い込んでいけばこの辺りまで到達できるとか、超ハイレゾ(DSD11.2MHz)だとこんな音になるとか…を知ること自体は有意義なんじゃないかなとは思っています。
さて、あおのりさん宅でのミニ試聴会です。
まずは、クリプトン KX-0.5p で聴くホルストの惑星。
は? なにこの低音は!?
しかも、低音の量だけではなく、すぐ目の前にスピーカーがあるのにオーケストラの奥行きまで感じられるじゃないですか。
『こんなん、あり得なーーい』
そのカラクリはテレビの裏に隠していたサブウーファーでした。
ピコーン!(ある事を思い出した)
メインのスピーカーよりも後方にサブウーファーを配置する事で、わずかな時間差が生まれ、それが奥行き感につながる…と言う話し。
これか!
単に低音の量をカバーするだけのサブウーファーではなかったんですね。
あおのりワールド、さすが!…と感銘を受けた瞬間でした。
我家のArdenにもサブウーファーを追加……あり得ないか。
次に木製キャビネットのフルレンジスピーカー(型式聞いてませんでした)で、JAZZと、ボーカルものを。
これは、聴いた瞬間ヤバイ!と思いました。
感動の余り感じるヤバイではなく、まじヤバイ方のヤバイです。
音の生々しさが半端ない。
大昔にヤクザが喧嘩している場面に出くわしてしまった事があるのですが、顔面にパンチが炸裂するグワシャ音とか、下駄で頭をガシガシ殴りつける音とか、生の音はそれはそれはスゴイんですよ。
そんな生々しさを想起させる音…。
て、例え悪いですよね?すいません。
決してイヤな音でない事は申し添えておきます。
ま、何にしろ私としては、刺激的で初体験な音でした。
『さあ、聴け!寝落ちは許さん!』…みたいな。(ボキャ貧ですいません)
でもですね、聴き進んで慣れてくるに従ってこれがまた何と『快感』に変わってくるんですよ。
一度その快感を知ってしまったら抜け出すのが容易ではない…そんな魔性のSPです、これは。
あ、また例え悪かったですか?すいません。
とても個性的で、人のハートを鷲掴みにするスピーカーだと思いました。
案の定、自宅に帰ってからArdenを聴いたら、いやぁ、生ぬるい、生ぬるい。
元に戻るまで随分時間がかかりました。(笑)
過分なコメントをいただき、ありがとうございます。
うかがったときは部屋の内装や絵、いただいた紅茶(キームンですね)や珈琲、カップに至るまで上品でした。その延長上にあるはずのオーディオは表面的には「生ぬるい」けど、情報量が多くて音のニュアンスに満ちていました。上品ですね。かたや私のオーディオは実用一辺倒で、ずいぶんと方向性が違うのに、話がかみ合うのがまた不思議でした。今後とも、よろしくお願いいたします。
昨夜はヤクザの喧嘩とか、妙な例えばかりですいませんでした。
寝ながらあの音を思い出していたらもうちょっとマシな例えを思いつきました。
セーラー服と機関銃…。
薬師丸ひろこが機関銃を乱射した後にうっとりした目でつぶやく
『か、い、か、ん』
どうだろ?
一度聴いたら記憶に焼き付く、ちょっと危険で麻薬的な音。
ポイズンあおのり…と呼びましょうか。
そう遠くない時期にまた聴かせてください。
ちなみに紅茶は、そんな大それたものではなく、仙台にある紅茶専門店『ガネッシュ』で製造、販売しているダージリンでした。
盛岡駅のフェザン内の食彩工房という店で購入できます。