
顔写真のジャケットなのにインパクトが大きいのは、見上げたアングルだから、だけではないだろう。ドルフィーは、どこを見据えているのか? 学生の頃に通った池袋西口のジャズ喫茶「ジャンゴ」では、これがパラゴンの上に飾られていたし、よくかけられてもいた。「かくれ名盤」を知らしめる意味も、あったのかもしれない。
アイドリス・シュリーマン(tp)の他は、現地のピアノトリオとの組み合わせで、ドルフィーはアルトサックス、フルート、バスクラリネットを吹き分ける。ライヴではなくてスタジオセッシ送音源だったのか、録音はあまり良い部類ではないけれど。内容は素晴らしい。この現地トリオは相当に巧いけど、オーソドックスで流れるような演奏をする。だからこそ、ドルフィーの疾走ぶり、いななきぶり、わめきぶりが余計に前面に出て来るという仕組みだ。「Alone」と題された曲は「レフト・アローン」で、ドルフィーはフルートで泣いている。(Stockholm Sessions / Eric Dolphy 1961 Enja)
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