
フランク・ウェス(1922〜2013)は、カウント・ベイシー楽団での活躍が有名なテナー・サックス奏者。フルートはプロになってから学校に入って本格的に学んだもので、「サックスの人が持ち替えで吹いてる」というレベルではない。フルーティストとしての魅力を存分に出したアルバムとして知られているのは、ミルト・ジャクソン(vib)の名盤、「オパス・デ・ジャズ」(1955)だろう。
「アナザー・オパス」は、「オパス・デ・ジャズ」の二匹目のドジョウを狙ったものだろう。録音はおなじみのルディ・ヴァンゲルダーだけど、英国のエスクワイアからリリースされている。ご丁寧にもレム・ウィンチェスター(vib)とガス・ジョンソン(ds)以外は、「オパス・デ・ジャズ」と同じ顔触れだ。「オパス・デ・ジャズ」で叩いていたケニー・クラーク(ds)は、すでにヨーロッパに渡っていたので無理だったのだろう。レム・ウィンチェスターは、ミルト・ジャクソンよりもクールでスムーズなスタイルを確立している。フランク・ウェスは「オパス・デ・ジャズ」よりも奔放に吹いているし、ハンク・ジョーンズもグッと前に出ている。続編というのはたいがいがダメになるけど、これは知られざる大名盤だ。レム・ウィンチェスターの作品としても、最高傑作ではないだろうか。(Another Opus / Lem Winchester Avid Jazz 1961)