2022年12月29日

アナザー・オパス / レム・ウィンチェスター     CD

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フランク・ウェス(1922〜2013)は、カウント・ベイシー楽団での活躍が有名なテナー・サックス奏者。フルートはプロになってから学校に入って本格的に学んだもので、「サックスの人が持ち替えで吹いてる」というレベルではない。フルーティストとしての魅力を存分に出したアルバムとして知られているのは、ミルト・ジャクソン(vib)の名盤、「オパス・デ・ジャズ」(1955)だろう。

「アナザー・オパス」は、「オパス・デ・ジャズ」の二匹目のドジョウを狙ったものだろう。録音はおなじみのルディ・ヴァンゲルダーだけど、英国のエスクワイアからリリースされている。ご丁寧にもレム・ウィンチェスター(vib)とガス・ジョンソン(ds)以外は、「オパス・デ・ジャズ」と同じ顔触れだ。「オパス・デ・ジャズ」で叩いていたケニー・クラーク(ds)は、すでにヨーロッパに渡っていたので無理だったのだろう。レム・ウィンチェスターは、ミルト・ジャクソンよりもクールでスムーズなスタイルを確立している。フランク・ウェスは「オパス・デ・ジャズ」よりも奔放に吹いているし、ハンク・ジョーンズもグッと前に出ている。続編というのはたいがいがダメになるけど、これは知られざる大名盤だ。レム・ウィンチェスターの作品としても、最高傑作ではないだろうか。(Another Opus / Lem Winchester  Avid Jazz 1961)
posted by あおのり at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1960年〜

2022年12月28日

CD36 ベートーヴェン ロマンス 他 / ダヴィッド・オイストラフ

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ベートーヴェンの「ロマンス」第1番(1948)と第2番(1947)、ゴダールのヴァイオリン協奏曲第1番から「カンツォネッタ」(1948)、ショーソンの「ポエム」(1948)、サン・サーンスの「序曲とロンド・カプリチオーソ」(1947)、ラヴェルの「ツィガーヌ」(1948)と、盛り合わせになっている盤。オーケストラはすべてコンドラシンが振っている。とくに「ロマンス」はベートーヴェンの作にしては優しいというか、女性性を感じさせる曲。総じて録音が良くないし、盤起こしの曲もある。
posted by あおのり at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Legendary Soviet Recordings

2022年12月25日

LPカートリッジ読本

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正式名称は「ONTOMO MOOK Stereo編 LPカートリッジ読本 〜小さなレコード針が実現する楽しみの世界」で、発行日は2019年3月1日。聞いたところによると、カートリッジを交換して音の変化を楽しむのは、日本人くらいしかいないとか、いやそうでもないとか。外国の人はつけっ放しが多いようだ。実際にPro-JectやRega、Clear Audioなどに採用されているストアームは、極細のリードワイヤーが使われていて、切ってしまったら厄介だ。とてもじゃいけど、カートリッジを交換して楽しもうなどという発想はわいてこないだろう。

言ってみればアナログ再生マニアによる、マニアのためのムックということになる。巻末には販売中のカートリッジが図鑑のように並んでいて、これをニンマリと眺めながめながら酒を飲む人もいる……かな? 読み物としては、ひとりでやっているようなメーカーも含めて、エンジニアのインタビュー記事が面白い。それぞれの方々が、どのようなことを考えて企画、製造しているのか、興味深いのだ。技術が完成されているカートリッジで、どう違いを出していくのかは難しいことなのだろう。

そうは言っても、カートリッジひとつに何十万円も出すのは御免こうむりたい。これからレコード再生をしようと言う人にお勧めするのは、カートリッジは安いMM型で十分で、むしろフォノイコライザーにちょっとばかりお金をかけた方が良いと思う。
posted by あおのり at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍

アメイジング・バド・パウエル vol. 2     LP

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アメイジング・バド・パウエル vol. 1の続編。こちらはピアノ・トリオで演奏された二つのセッションから編集されており、アルバムとしての統一感は取れている。絶好調だったルースト盤のめくるめく世界ではないが、パウエルのピアノはイマジネーションと安定感がある。音質もルースト盤よりは良いし、落ち着いて聴けるピアノ・トリオの好盤と言える。(The Amazing Bud Powell vol. 2   Blue Note 1951)
タグ:BLUE NOTE
posted by あおのり at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜

2022年12月24日

CD92 テューダー朝の音楽 / プロ・カンティオーネ・アンティクァ

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イギリスのテューダー朝は、かの有名なヘンリー[世の時代。この王様には王女は生まれるけれども、王子が生まれなかった。勢力争いに明け暮れる時代に強力な世継ぎが欲しかったために、離婚を画策。ローマ法王と袂を分かってまで、英国国教会を作ってしまった。文筆家や作曲家としても一家をなして、王宮では絶えず音楽が奏されていたらしい。このCDではジョン・タヴァナー(1490〜1545)やジョン・シェパード(1520〜1963)らの宗教曲が取り上げられている。グレゴリオ聖歌を下敷きにしたような、アカペラの合唱曲が続く。(Musik Der Tudor-Zeit / Pro Cantione Antiqua, London  1974 Deutsche Harmonia Mundi)
posted by あおのり at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Deutsche Harmonia Mundi 100