
指揮の藤岡が英国のレコード会社シャンドスから「何でも好きな曲を録音させてあげる」と言われ、「悲愴」や「春の祭典」の提案を蹴って、「吉松隆を録音したい」と申し出た。藤岡が吉松の音楽に入れこんでいなかったら、吉松作品が今日のように聴かれることはなかったのだろう。交響曲第2番はレクイエムになるはずの曲であり、カップリングされているのはギター協奏曲「天馬効果」と、初期の傑作「朱鷺に寄せる哀歌」だ。吉松の音楽性の本質は「生きる哀しみ」ではないかと思っているが、はかなさに裏打ちされたきらめきに満ちている。ギター協奏曲では、オーストラリア出身のクレイグ・オグデンが端正なソロを弾いている。(Takashi Yoshimatsu Symphony No. 2 Guitar Concerto Threnody to Toki / Sachio Fujioka Craig Ogden BBC Philharmonic 1996 Chandos)