2022年09月21日

2022年10月号

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どうです、この写真。カートリッジのメタル感、周囲の光の落ち方やボケの具合、見事としか言いようがない。このカートリッジはオーディオテクニカのAT-ART20で、330,000円らしい。MCカートリッジが30万しても、もうすっかり耐性がついているので何とも思わないけど、手ごろな価格帯で勝負してきたメーカーだけに裏切られたような気分にもなってくる。同社のカートリッジは何個も買っているのだから、「裏切られた」と言う権利?は、あるような、ないような。

さて特集は「アナログレコードが出来るまで」で、かなりニッチなところを攻めている。マスターテープから塩化ビニールの円盤まで、どんな過程があるのか興味がそそられる人は……いるのかもしれない。ぼくにしてみたら、アナログLPの歪みを証明するようなものだと思う。何しろカッティング・エンジニアが刻んだラッカー盤(凹)→メタルマスター(凸)→メタルマザー(凹)→スタンパー(凸)→レコード盤と、つまりは5回の物理的な変容を遂げているのだ。溝の刻みがそのたびに微妙に変わって、音が歪んでいくことは容易に想像ができる。その歪みがヒトの耳には、心地良く聴こえることもある……のだと思う。

だから……エソテリックの770万円(アームつき)のアナログ・プレイヤーとか、いくら何でもやり過ぎじゃないかと思ってしまうのだ。同じくエソテリックが輸入しているアヴァンギャルドの3000万円台のスピーカーもそうだけど、「できたら導入したい」という夢にすらならないのでは白けませんかね。同誌には「トランジスタ技術」や「共立エレショップ」とコラボした「MCカートリッジ用ヘッドアンプ」\15,400が掲載されていて、シェルにバッファアンプが乗っているのは面白ろそうだ。こういうのは、面白いんだけど……。トータルでせいぜい車一台分、その程度でオーディオ機器を作る努力をして欲しいし、そういうものを紹介して欲しい。車だってうんと高いのはブガッティとかあるけれど、アラブの石油王しか買えないんだから。

「STEREO試聴室」ではデノンのプリメインアンプ、PMA-900HNE 132,000円が紹介されている。フォノイコライザーもネットワークもデジタル入力も積んでいて、オールマイティに使える一台で、これからオーディオを本格的にやってみたいという人には良いのではないだろうか。エラックのスピーカー UFR52 \297,000もそうだけど、庶民にも手に入る機種が評価の対象としてまっとうな位置にあるのを見ると、ホッとするのだ。おカネのことばかり言っているのも情けないけど、オーディオが大勢の人たちで楽しめるものになって欲しい。

いちばんに読み応えがあった記事は、「セイジ・オザワ松本フェスティバルの舞台裏 〜バランスエンジニア深田晃の録音現場に迫る」だった。執筆は渋谷ゆう子さんで、音楽の現場を広く深く知らないと書けない記事だと感じた。峰尾昌男さんの「火の鳥電機」とキヨトマモルさんの「クラフト・ヴィンテージ」は相変わらず勢い良く突っ込んでいて、興味のある人にはたまらない記事だろう。あとだれとは言わないけど、惰性でだらだら書いているとしか思えない人たちもいて、何だかなあと思ってしまう。みんなジイさんだから仕方ないのか? 「あんたがジジイなんだから、人さまををジジイと呼ぶんじゃない」と妻に言われる昨今でございます。
posted by あおのり at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽之友社 月刊 stereo

シェリー・マン・アンド・ヒズ・メン・アット・ザ・シェリーズ・マン・ホール   vol. 1   CD

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シェリー・マン(ds)は、「シェリーズ・マン・ホール」の名前でクラブを経営していた。このアルバムはそこでのライヴを録音したもので、つきあっているのは豪華メンバーだ。コンテ・カンドリ(tp)、リッチー・カミューカ(ts)、ラス・フリーマン(p)の手練れに、チャック・バーグホーファー(b)は24歳でこれがデビュー戦だったらしい。じっくり聴くとフロントマンの二人、カンドリの伸びやかな歌い回しと、カミューカの猛烈なスイングは素晴らしい。フリーマンもスタジオ録音のときよりも、弾きまくっている。(Shelly Manne & His Men at The Manne Hole vol.1   1961 Contemporary)
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posted by あおのり at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1960年〜