ブログ「オーディオベースマン 見たり聴いたり」の
「シーメンスのフルレンジ4発スピーカー」で取り上げられていた、シーメンスの「鉄仮面」。お店で聴かせていただいたので、その感想をお伝えします。
鉄仮面は後面開放型の箱にユニットが1発ついているのは見たことがあるけど、2発ついているのは初めて見た。もう箱なんだか、屏風なんだか、壁なんだかわからない大きさに達している。これを置くには当然、広い空間が必要。しかも壁にびったりくっつけてしまっては、後面開放の良さが半減してしまうだろう。

「鉄仮面」は金属製の音響レンズがついている、同軸型10インチのユニット。
初めはキース・ジャレットのピアノ・トリオ。………古色蒼然としている。再生周波数帯域はいわゆるカマボコ型で、細かい音に敏感に反応しているような感じもなく、ハイファイとは真逆の方向だ。透明感のない、ホコリっぽい音。クラシックのオーケストラも、スピーカーが勝手に時代をつけてしまう。とても新しい録音とは、思えない。
それはそうなんだけど……。もしぼくがジャズ喫茶をするのだったら、このスピーカーで鳴らすのが良いと思った。骨格がしっかりしていて、伸びやかな開放感にあふれた音なのだ。大音量にしてもやかましくならず、小音量でも音の輪郭が崩れない。生き生きと音楽を聴かせてくれるのは、「箱」の内圧でユニットが抑制されるのではなく、楽器のようにコーン紙が自由に動く構造だからだろう。ありがたいのは、何時間聴いていても聴き疲れしそうにないことだ。
だれか、家に置こうっていう人はいませんか?