2022年08月07日

大坊珈琲店の模型

daibou.jpg

大坊珈琲店は2013年まで38年間、東京の青山で営業を続けた名店だった。酸味が消えるまで深煎りされた豆は、店主の大坊さんが手回しのロースターで煎っている。たとえ1キロでも、煙突のない手回しなら店内にこもる白煙と異臭は相当なものだろうけど、午前中に訪れていた人は平気だったのだろうか。

ぼくは一度だけ、大坊珈琲店で信じられないくらい「とろんと甘い」珈琲を味わった。店主の大坊勝次さんは岩手県出身ということもあり、盛岡市のコーヒー・フェスタに招かれてお話をしてくださった。ご著書にサインをいただくときに、「大坊さんの珈琲の模型くらいは作りたいと思っているんですけど、全然です……」と話してみた。「いやあ、簡単ですよ、簡単……」と気さくに笑っていらっしゃったけど、あれはマジックだ。

模型にチャレンジするチャンスは、夏にやってくる。妻は深煎りの豆が嫌いなので、ふだんはあまり焙煎しない。アイスコーヒー用に深煎りした豆を、ドリップしてみるのだ。ちょっと痛いのが、わが家の抽出はハリオV60で、大坊珈琲店のようなネルドリップではない。ネルを使ったこともあるけど、家で淹れるのには管理が大変だし、衛生面にも気を遣うのが面倒でやめてしまった。ブラジルのフレンチローストをベースにしたブレンド、15グラムを中粗挽きにして、80度の湯で100mlを点滴ドリップした。

……やっぱり、とろんと甘い珈琲にはほど遠かった。模型と呼べるくらいの甘味を出すには、どうしたら良いんだろう? 生豆をもっと吟味せよと言われると、どうにも苦しい。商社と直に取引できるわけではないし、小分けの問屋さんから買っているので。良いものは大口に流れて行ってしまって、「残り物」に福はないので。
posted by あおのり at 20:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲