2022年07月31日

ポイント・イン・タイム / フレッド・ハーシュ    CD

pointintime.jfif

着物について「派手を通らない地味はない」と言った通人がいたそうだけど、しみじみ弾いているフレッド・ハーシュ(p)も若い頃はこんなスタイルだったのか、それともプロデューサーのホルスト・ウェーバーの仕掛けに乗っかったのか、アップテンポの曲ではゴリゴリに弾いてみせる。ドリュー・グレス(b)、トム・レイニー(ds)と組んだトリオに、曲によってはリッチ・ベリー(ts)、デイヴ・ダグラス(tp)が加わる。10曲中4曲がハーシュのオリジナルで、(10)Drew's Bluesでニューオリンズ風の祝祭的な盛り上がりで終わるのも良い。誇張のないナチュラルな録音だけど、ドラムが引っ込み気味なのが惜しい。(Point In Time / Fred Hersch  Enja 1995)
タグ:ENJA
posted by あおのり at 08:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 2010年〜

2022年07月29日

CD18 モーツァルト ピアノ協奏曲 / エフゲニー・キーシン

18 Kissin 1.jpg

エフゲニー・キーシン(1971〜)はもう50歳を越えているけど、13で時の第12番(1984年)、20歳での第20番(1990年)、そして自作の小品「インベンション」2曲が収録されている。協奏曲のオーケストラは、ウラジミール・スピヴァコフが指揮するモスクワ・ヴィルトゥオージ。第12番は演奏がどうこう言う以前に、カサカサした録音で聴くのがちょっと辛い。どちらも力強いタッチでガンガン攻める感じで若々しく、これはこれで微笑ましく感じる。オーケストラも躍動的だ。
posted by あおのり at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | Legendary Soviet Recordings

ビル・フリゼール・トリオ



日本風に言えば古希を迎えたビル・フリゼール(g)が、2021年7月3日に行ったライヴがYouTubeにアップされていた。ライヴハウスやコンサートではなくて、公的な団体が企画したようだ。木造の納屋に大きな抽象画がかかっていて、トーマス・モーガン(b)、ルディ・ロイストン(ds)とのトリオが淡々と、おしゃべりを楽しむように演奏を進める。見た感じではフリゼールの思いつきに二人がついて行ってるようで、たやすい芸当ではない。同時代のジャズ・ギタリストはパット・メセニーを追いかけるのに手一杯で、カントリーの匂いがするフリゼールは敬遠していた。でも、やはりこの人は凄い。
posted by あおのり at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽と音楽家

2022年07月28日

10cm2ウェイでマーラーを聴く

サブシステムのスピーカーは、ウーファーの口径が10cmしかない。ジャズやロックは良いかもしれないけど、大編成のオーケストラは聴けたもんじゃないだろう……と思う人が多いと思う。とくにサン・サーンスの「オルガンつき」とか、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とか。ふだんは窓際に寄せているスピーカーを、セッティングするとこんな感じになる。

subsystem.jpg

マーラーの交響曲第1番「巨人」、バーンスタイン指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ交響楽団のCDをけっこうな音量で聴いてみた。サブウーファーを組み込んだメインシステムに比べると、さすがにコントラバスや大太鼓など低音楽器の迫力や、ホールトーンの響きは出ない。そこは残念なところだけど、逆に点音源から音が広がって楽器がしっかり定位する感じはある。気になったのは意外にトゥイーターの性能で、メインで使っているクリプトンのリングトゥイーターの滑らかな音に慣れてしまうと、DALIのソフトドームのシャカシャカというか、突き刺すような感じが耳につく。

たとえば広い部屋に置かれたタンノイのオートグラフと比べると、心地よく鳴り響く感じはまるでない。まあ全然ないんだけど、オートグラフで気になる音の濁りがなくて切れ味の良い鮮明な音だ。どちらが良いというのではなくて、オートグラフがコンサートホールの疑似体験なら、このシステムは作品をくっきり聴くという感じだ。低音のレンジや量感があると、聴きごたえというか、お腹いっぱいの感じは出て来る。それもオーディオの楽しみのひとつであることは否定しないけど、低音の量感を追い求めてしまうと、音楽が聴こえなくなる、ということもあると思う。

話は横道にそれるけど、先日NHK-BSで放送された、広上淳一指揮京都市交響楽団の「巨人」の方が演奏も録音も良かったような気がする。広上さんのあっけらかん体操みたいな振り方はいまいち興ざめだけど、相当に細かいところまで練りこまれている印象をもった。録音はハープの弦が震えるのがはっきり聴こえて、鳥肌ものだった。
posted by あおのり at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ

サブシステム

実は、10畳ほどの仕事場にもオーディオ装置を置いている。「男の隠れ家」ではないけれど、書斎兼リスニングルームにもなっている。いわゆる「離れ」なので爆音でもOKなのだが、冷蔵庫みたいなスピーカーは置けない。10cm2ウェイ、これがせいぜいのところなのだ。もとはDALIのRoyal Menuet 2なのだけど、箱だけウォルナットの無垢板でLinfof工房さんに作り直していただいて愛用している。内側に溝を彫りこんで定在波を防いだ結果、吸音材はゼロで済んで、恐ろしく鳴りっぷりが良くなった。

walnut.jpg

スピーカーを岐阜に送って、待つこと2年近く(だったっけ?)。他にも注文待ちのお客さんも多いようだし、板を乾燥させる時間もあるので、そうすぐには出来ない。いまの時代、一点ものを誂えて待つというのは、最高の贅沢の一つだと思う。

walnut2.jpg

これをドライブするアンプはオルトフォンLMA-80。おそらくは前園さんが企画したアンプで、40Wの薄型だけど、医療用のトランスを積んでいる。低能率のスピーカーでもスッと音が出るのが凄い。ターンテーブルはTEAC TN-550、CDプレイヤーはPioneer PD-30AE。最近のCDプレイヤーは、安っぽくても驚くほど音質が向上している。

lma-80.jpg
posted by あおのり at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ