2022年05月21日

アーバー・ゼナ / キース・ジャレット    LP

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学生時代は、トリオレコードから「ブルー・モーメント」の名前で売られていた。よく中古盤屋のエサ箱に入っていたから、手放す人が多かったのだろう。少ない予算で一枚でも多く聴きたかった当時でも買わなかったのは、ストリングスが入ったのなんか下らないと思っていたからだし、その青臭い観念がいまとなっては懐かしい。

キース・ジャレット(p)、ヤン・ガルバレク(ts, ss)、チャーリー・ヘイデン(b)と、ムラデン・グテシャ指揮のストリングス(シュトゥットガルト放送交響楽団)によるアルバムで、3曲ともキースの自作曲(オマージュであり、具体的に名前が挙げられているのはチェロ奏者のパブロ・カザルス)で構成されている。グテシャはもともとトロンボーン奏者で、ジャズの編曲を数多く手がけているだけに、ジャズのビートが沁みこんだ指揮をしているように思う。とは言っても、「ジャズ」と言うよりは「現代音楽」なのだろう。

「ジャズとクラシックの融合」は、ボーダーレスのいまとなっては陳腐ですらなく、居場所のない言葉になってしまった。でもこれが吹き込まれた1970年代には、大マジメに取り組む人もいただろうし、それが新しい時代の音楽だと受け止めた人もいたのだろう。いまあらためて聴いてみると、この録音はジャズでもクラシックでもなく、両者を融合したものでもなく、ただひたすらに音楽であると思う。キースは唸らずにキレのあるピアノを弾いているし、ガルバレクはよく歌っている。ヘイデンはA面のみの参加で、しっとりとした音色でソロを聴かせてくれる。(Arbour Zena / Keith Jarrett   1975 ECM)
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posted by あおのり at 08:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽