
「クラシックジャーナル」という雑誌が出ていたとは、知らなかった。ぼくはお勉強のようにジャズを聴かようとするのは「スイングジャーナル」で凝りていたので、「レコード芸術」も買ったことがなかった。この号が出たのは2013年の4月で、クラシックのボックスものがばんばん出ていた頃だった。裏表紙にあるワゴンがタワレコに置かれていて、頬杖ついたトスカニーニはCDが84枚にDVDがついて1万円を切っていた。それを横目で見ながら「どんな人が買うんだろう、すごいなー」と思っていたのが、数年後にはヤフオクやamazonで各種ボックスを漁るようになっていたのだから、人生何が起きるか分からないのだ。さすがにトスカニーニとか、フルトヴェングラーの107枚組とか、バッハなど作曲家別全集などは買っていないけど。

こういったボックスものを買った人の多くは、すでに長年クラシック音楽を聴いて来て、コレクションのLPやCDがボックスにかぶっていたと思う。この本の対談で「お祭りに寄付するようなつもりで買う」と言った人がいたけど、まさにそんなところだろう。激安にされて忌々しくもあるけど、まだ聴いてないのがあれば聴いてみたい。単品のコレクションを処分すれば、省スペースにもなる。著作権切れやネット配信で終わりを告げようとしているCD時代の、有終の美を飾るお祭りでもあった。そしてどうやらこの「クラシックジャーナル」も、この特集で「最終形態」になってしまったようだ。
ジャズの方はあいも変わらず、旧録音は単発のCDでだらだらと売り続けている。浮き沈みの激しいマイナー・レーベルが多かったこと、あちこちのレーベルに録音したミュージシャンが多かったことも影響しているのだろう。たとえば「ブルーノート 1500番台 コンプリート」とかをボックスで出してくれれば、その多くをすでに持ってはいるけど、「お祭りに寄付するようなつもりで」買うと思う。それはトドメを刺すことになるのか、有終の美を飾ることになるのか、どっちなのだろう。