2022年01月20日

ニアフィールドリスニングの快楽

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季刊「ステレオ・サウンド」は他所でひもとくことはあっても、買ったことがない。紙面は美しくて格調も高いのだけれど、オーディオにどんとお金を注ぎ込んでいるとか、写真を眺めるだけで使った気になれるとか、それとも一関「ベイシー」の菅原さんの熱烈なファンとか、そういう人しか楽しめないのではないか? 本書はその「ステサン」に連載されていた記事を編集したもので、こういう本はまことにありがたい。

著者の和田博巳はジャズ喫茶店主、ベーシスト、プロデューサー、オーディオ評論家と、一貫してプロフェッショナルの側に立って来た人ではあるけれど、上からモノを言うような感じはさらさらない。読んでいる方もつい「和田さん」と言ってしまうような、お互いにただの音楽好きとして雑談に興じているような語り口が嬉しい。ニアフィールドでの聴き方を提案しつつ、機材やソフトの体験を聞かせてくれる。

その一方で、「大型のスピーカーが売れなくなったら困るじゃないか」みたいな、業界の都合にも気配りをしているようだ。ちょっと長くなるけど、引用させていただく。「ぼくの言うニアフィールドリスニングの薦めとは、二フィールドリスニングというスタイルがオーディオの理想的な形態だと力説しているのではなく、将来的な夢は夢として残しておきながらも、現実限られた住環境の中で努力すれば、オーディオ的喜びが存分に味わえる素晴らしい世界がそこにあると言いたいのである」……なるほどねえ。「力説しているのではなく」とあえて書いているからには、理想的な形態だと思っているのに違いないのだ。勝手に行間を読んでしまってごめんなさい、和田さん。
posted by あおのり at 09:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍

コーン・オン・ザ・サキソフォン / アル・コーン   CD

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アル・コーン(ts, 1925〜1988)は作編曲家としてウディ・ハーマン楽団を支え、サックス奏者としては「フォー・ブラザース」の一員だった。単独名義のアルバムよりはズート・シムズ(ts)と組んだ「アル&ズート」のシリーズが知られている。これまでほとんど聴いていなかったので、Avid JazzのCDを取り寄せてみた。フレディ・グリーン(g)の「ミスター・リズム」も聴いたことがなかったので、好都合だった。

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わざわざ「サックスの〜」と前置きをつけるのは、やはり作編曲家としての活躍が目立っていたからだろう。コーンのテナーは、ズート・シムズと同じくくつろいだ中間派のスタイルで、気持ちよく聴ける。3曲でつきあっているフランク・リハク(tb)は歯切れ良く吹くのにまるで知らない名前だったので、J.J.ジョンソンが変名で吹いているのかと思った。調べたらヘロインの嗜癖で「シナノン」に入っていたことがあり、アート・ペッパーの自伝「ストレート・ライフ」にも登場しているそうだ。こんなに凄いのに身を持ち崩さなかったら……と、残念な人だ。ハンク・ジョーンズ(p)、ミルト・ヒントン(b)、オジー・ジョンソン(ds)と強力なリズム隊で、とくにヒントンのポンポンと「乗せてあげまっせー」みたいなベースはイカしている。(Cohn On The Saxophone / Al Cohn   1956 Avid Jazz)
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posted by あおのり at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜