2022年01月05日

Accuphase アキュフェーズ E-800 対 E-5000 聴き比べ

オーディオ・ベースマンにおじゃまして、アキュフェーズのプリメインアンプ、E-800とE-5000の聴き比べをした。スピーカーはB&Wの802D3、ディスクプレーヤーはアキュフェーズのやはりハイエンドだけど、モデルを確認してくるのを忘れてしまった。そんな風にテキトーなのは、どっちにしようか迷っているのではなくて、はなっから縁がないからだ。こんなに大きいとラックには置けないし、こんなに重くては持ち上げられない。メンテナンスに出すころには自分も弱っているだろうから、介護保険のホーム・ヘルパーさんに手伝ってもらわないと無理だ。「あそこの爺さんったらさ〜」と話のネタにされたあげく、フラチな要支援者扱いされるのがオチだろう。その頃にはアキュフェーズさんもユーザーの高齢化に対応して、回収と設置までやってくれるようになるかもしれないけど。

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E-800はA級で出力50W(8Ω)、重さは36Kg、希望小売価格は1078,000円(税込)。

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E-5000はAB級で出力240W(8Ω)、重さは33.8kg、希望小売価格は990,000円(税込)。こちらの方がE-800よりもわずかに背が低いけど、やっぱり恐ろしくデカい。たかが家で音楽を聴くのに、こんなにデカい装置が必要なのか? 英国製のコンパクトなアンプでも十分に聴けるのだったら、これはクレイジーではないか。いやもう自分だってクレイジーの領域に片足を突っ込んでいるのだから、偉そうなことは言えないけど。

視聴ソースはCDでパット・メセニーの「フロム・ディス・プレイス」から1曲目の「アメリカ・アンディファインド」、ラヴェルのピアノ協奏曲第1楽章(デュトワ指揮 モントリオール響)の2曲。両機とも大口径ウーファーを2発積んだ802D3を楽にドライブしているように聴こえた。もっとも店主氏に言わせると、同じアキュフェーズのセパレート機の方が、ダンピングが効いて軽やかに音が出るということだ。そりゃそうかもしれないけど、十分に良い音ではないかと思った。

E-5000はチャンネル・セパレーションがE-800よりも良くて、音が広がる。躍動感があるし、大太鼓の「ドンッ!」はE-800よりもはっきり出る。奇異に感じられる音は一切出てこないし、安心して音楽に身を委ねられるという感じだ。かたやE-800はより楽器そのものに近いというか、たとえば弱音部でのハープのソロで弦が一本ずつはっきり聴こえる。音の広がりはいまいちだし、低域がE-5000よりも下まで伸びているために、逆に線が細く感じられる。総じて繊細でS/N比が高く、音の表情がはっきり出るので、「身を委ねる」よりは「身を乗り出して」聴きたくなる。

E-5000はオーディオ性能が高くて、安心して使えるアンプだと思う。もし音に不満があってもアンプのせいにできないし、海外製品の気難しさや故障に泣かされている人は日本的高性能に安堵するのも良いと思う。でもE-800はワン・アンド・オンリーで、「これで聴くぞ」の覚悟が必要なのだ。同社のプリアンプとA級パワーアンプの組み合わせとはまた違う世界というか、刺身包丁でスッと切るような日本的美意識すら感じる。もしぼくがどっちかを買うのだったら、10万円高くても大飯食らいでもE-800だろう。ぼくにしたらアンプに100万円も払うのは常軌を逸していると言うか、道楽と言うか、剛の者の仕業と言うかであって、でもそこまでやるならE-5000の「安心できる音」よりも、E-800の「美意識を感じる音」が欲しくなるんじゃないかな。そう思う。
posted by あおのり at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | オーディオ