
フリッツ・ブンダーリヒ(1930〜1966)は友人の別荘で転落して、不慮の死を遂げたテノール歌手。オペラでも活躍したが、これはドイツ・リート集でシューマンの「詩人の恋」、ベートーヴェンの4つの歌曲、シューベルトの9つの歌曲が収録されている。ピアノの伴奏はフーベルト・ギーセン。明るく澄んだ声で、過剰な情緒表現もなく、気持ち良く聴いていられる。シューマンは交響曲よりも、歌曲の方が良い味を出しているように思った。ちょっと意外だったのはベートーヴェンで、鼻唄の延長のような素直な曲を書いている。(1966年録音)