
特集は「一歩先のストリーミング」で、一歩だけ足を踏み入れて撤退した自分にとっては、まるで関係ない記事だ。「ストリーミングは良いよ〜」と誘惑するようなくだりもあるけど、まだまだ腰を上げる気にはならない。「高音質」と「簡便」の両立が「一歩先」なのかもしれないけど、うーんどうなんだろう、愛着を感じたりどう鳴るか聴いてみたり、そういうのはモノがないと面白くない。スマホとWiFiの絵が描かれているけど、スマホをリモコン代わりに使って再生するということなのか? あんまり夢を感じない。ベイシーのマスターじゃないけど、「簡便」は「感動」を忘れるのではないか。
新製品のレビューでは、アキュフェーズDP-1000とDC-1000はもう聴いてしまっていたけど、予想通りの好評価だ。でもまあ、自分にはご縁のない製品なので……。他にもフェーズメーションの120万のフォノイコライザー、エステロンの275万のスピーカーが見開きで紹介されているけど、あんまり高額商品に紙数を費やさない方が得策ではないかと思うのだ。Stereo誌は8cmや10cmのフルレンジユニットを付録につけたり、自作・改造記事も掲載しているけど、ちぐはぐではないだろうか。「それほどお金をかけずに、音楽を楽しむ雑誌」という位置づけで、「ステレオ・サウンド」や「Analog」などと棲み分けをした方が、読者がついていくのではないだろうか。何だか、前も同じようなことを書いた気がするけど、また書きたくなってしまう。
テクニクスのスピーカー、SB-G90M2が新製品NEWSに載っていた。1本298,000円なので、そこそこの数を売る気でいるんだろう。テクニクスの本気度が伝わってきて、頼もしい。アキュフェーズはプリメインアンプE-5000を創業50周年モデルとして発表、8Ωで240Wとは、モンスターだ。
寺島靖国さんの「テラシマ円盤堂」は、<「音楽を聴くオーディオ」か「オーディオを聴くオーディオ」か>と題して、ホンネを書いている。「オーディオは音楽を聴く道具」であることが、不服なのだそうだ。「歯ブラシは歯を磨く道具」から飛躍して、歯ブラシの形態や色遣いを鑑賞する、「歯ブラシ愛好家」みたいな人なのだろうか。しょうもない。だけど筆力は、並大抵のものではない。文章の面白さに引き込まれていってその挙句に、「この人は本当にものを分かっていないなー」と優越感に浸らせるのがこの人の芸風なのか。深謀遠慮でそうしているのなら、たいしたものだと思う。