2021年05月31日

スピーカーの入れ替え その2

2ウェイのスピーカーは、「ドンシャリ」になりやすい。ズンドコと低音がなる、シャリシャリと高音がにぎやかに鳴る、でも肝心の中音域が薄くて訴求力がなくなってしまう。これは店頭効果を狙ってわざとそう作っているのかもしれないけれど、ウーファーの再生周波数帯域がしっかり上まで伸びているかどうかが、分かれ目だと思う。案外に、単純にウーファーの口径で決まってしまうのかもしれない。

ウーファーの口径が10cm、たとえばぼくが仕事場で使っているDali Royal Menuet2は中音域が濃密だ。リビングで使っているStirling ls3/5aも10cmで、やはり中音域はしっかり主張する。ところが16cmのB&W 805D3になると、高分解能でワイドレンジなのは認めるけれど、どうも中音の熱量が足りないような気がしてしまう。自分が中音域に執着し過ぎなのか、それとも世間様が低音フェチなのか? よく分からなくなってくる。

濃密な中音域を味わえる、2ウェイのブックシェルフはないものか。これまで聴いたことがあるのは、名匠フランコ・セルブリンの手になるアッコルド。絶妙にチューニングされた箱鳴りで、低音域を嫌味なく拡張している。歌手の吐息も音楽になるような、色っぽさ。そんなに良いなら買えば良いじゃないかと言われれそうだけど、ペア130万はおいそれと手が出ない。
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2021年05月30日

モラヴィア / ジョージ・ムラーツ

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ジョージ・ムラーツ(b)はチェコに生まれ、オスカー・ピーターソン・トリオのレギュラーを務めるなど、あちこちから引っ張りだこの名手だった。そのせいかリーダー作は、ベーシストであることを割り引いても少ない。このアルバムはビリー・ハート(ds)に、チェコのZuzana Lapcikova(vo)、Emil Vilkicky(p)が加わって、ニューヨークで録音された。チェコのお二人はローマ字の上に点がついている。Zuzana Lapcikovaはバチで弦を叩く民族楽器のツィンバロムを弾き、透明感のあるヴォーカルも絶品だ。そんなフォーク調の曲と、オーソドックスなピアノ・トリオの両方を楽しめる。(Morava / George Mraz  2000 Milestone)
タグ:MILESTONE
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2021年05月29日

ブルックナー1

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交響曲第1番(リンツ稿)に続いて、第5番の第1楽章を収録。その第1番だけど、カラヤンは豪快と言えば豪快、力技でフィナーレに突き進んでいく感じがする。そこに爽快感を感じる人は、感じるのだろう。でもブルックナーは何度も曲をしつこく改訂してみたり、ロリコンだったりして、豪傑ではない。屈折したまま、自分の世界に耽溺していたような人、というイメージだ。屈折したがゆえの精緻な構築美、を味わいたいような気がする。
posted by あおのり at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | Karajan Symphony Edition

スピーカーの入れ替え その1

いっとき、ブックシェルフのスピーカー3組を並べていたときがある。女房がたまりかねて「こんなちっちゃいのをいくつも置かないで、大きいのをひとつにしなさいよ」と言った。3組の同時稼働による爆音装置だと思い込んでいたらしいが、実際はセパレートとプリメインの2系統のアンプ、スピーカー3組を切り替えるセレクターが爆音装置の司令塔として君臨していた。われながら、実験みたいな聴き方は面倒になっていた。

「え? いいの? 冷蔵庫みたいなやつを買って。200万とか、するんだよ」
「いいんじゃない、パパが好きなんだったら、買えば?」

女房にしてみればリビングが電器屋みたいになるのが嫌だし、掃除も大変なのだ。このさいお許しに乗じて……と生唾を呑み込んだが、かと言って欲しい大型スピーカーがあるわけでもないのだ。オーディオショップで、ジャズ喫茶で、あるいはよそのお宅で、それなりに大型スピーカーの音も聴いて来たけど、憧れをもったことはなかった。広いリスニングルームに恵まれている人ならともかく、うちのリビングに置いたところで多寡が知れている。それにわが家のご主人、エリック様が爪とぎにご使用になられた日には目も当てられない。ペットボトルのキャップでご趣味のサッカーに興じられたら、ウーファーだって無事ではいられないだろう。

ということで、大型スピーカーの導入は却下。女房から「うちは電器屋ではありません」と言われないように、スピーカーは2組にした。アンプはラックスマンのプリメイン1台に統合(その後アキュフェーズに入れ替えた)。オーディオデザイン社の立派なセレクターは、ヤフオク海の藻屑と消えた。思い切ってサブウーファーを入れてみたら、大型スピーカーで苦労するよりもずっと良いと思った。自分の趣味にだけ散財していると思われるのもナニなので、テレビも大型化した。ずいぶん忙しいことであったし、もうこれで装置はいじらないはず……だった。

気になりだしたのは、クラシックを聴くのに使っていた、Stirling ls3/5aだ。このところバスレフ勢に押されている密閉型だけど、密閉型ならではの良さはある。低音の締まりがよくて、モヤモヤした付帯音がない。気持ちよく音が広がっていくし、とにかく嫌な音が出てこない。でもコンパクト2ウェイならではの、スピード感や透明感が欲しいと思うようになってしまった。オーディオ装置の入れ替えは買い物ではあるけど、高いものにすれば単純に良く鳴るものではないので、「悩みごとの解決」みたいなものなのだ。贅沢な悩み、なのではあるけれど。
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2021年05月28日

ムーン・リヴァー / 辛島文雄   CD

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辛島さんは2015年にすい臓がんが見つかり、2017年に他界された。闘病中のライブでは「病気になってから沢山の人たちに助けてもらって、それでまだ生きてるもんだから、シヌシヌ詐欺って言われてます」と笑わせてくれたりして、おそらくはひどい痛みに耐えながら、紳士の優しさと威厳とユーモアを保ち続けた。このアルバムはスタンダード・ナンバーを淡々とソロで弾いており、かつてのとめどなくフレーズが溢れ出してくる辛島さんではない。音数を削って、換骨奪胎して、しみじみと語るピアノはワン・アンド・オンリーだ。(Moon River / Fumio Karashima  2008 Pit Inn)
posted by あおのり at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 2000年〜