2022年01月22日

ミスター・リズム / フレディー・グリーン    CD

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フレディー・グリーン(1911〜1987)は、カウント・ベイシー楽団のリズムを奏でたギタリストとして有名な人だ。なみのピックギターのボディ幅は16インチで、ギブソンの豪華版スーパー400ですら18インチのところ、ストロンバーグの19インチギターの弦高をさらに上げて、3弦だけ弾いてもビッグバンドをスイングさせる音量をかせいでいた。もちろん、ピックアップやアンプのない時代から。よく「四つ刻み」とは言われるけど、この人がやるとそんな単純なものではない。絶妙な前倒しでスイングさせて、音も一拍ずつ変えている。なみの人ができる芸当ではないけど、分かる人にしか分からない。アル・コーンはテナーと編曲で参加して、ベイシー楽団の仲間たちもつきあっている。自分名義のアルバムでもソロは取らずにリズムに徹しているが、12曲中の8曲を自分で書いている。中間派のコンボ作品として楽しめる。(Mr.Rythm / Freddie Green  Avid Jazz 1956)
タグ:RCA
posted by あおのり at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜

CD29 天使の声 フランシスコ・ゲレーロ 宗教合唱作品集 / アンサンブル・ラ・セスティーナ

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フランシスコ・ゲレーロ(1695〜1764)はスペインの著名な歌手、作曲家だった。聖地エルサレムへの巡礼で誘拐され、身代金を払ってもらって帰国できたまでは良かったが、無一文になって税金を払うことができずに収監された。でも手記を出版してベストセラーになり、波乱万丈の人生を送った人だ。この録音は無伴奏の合唱作品で、ソプラノ2人、カウンター・テナー2人、テナー2人、アルト2人と、高めの編成で歌われている。ゲレーロは機能和声(コード進行)を意識していたとされており、聴き易い。このジャケット通りに美しく、心安らかな歌唱だ。(Francisco Guerrero  The Angel's Voice / Ensemble La Sestina - Adriano Giardina  2011 Deutsche Harmonia Mundi)
posted by あおのり at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Deutsche Harmonia Mundi

2022年01月21日

シニョラ・ダ・ラパ / マリア・アナ・ボボン    CD

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「M・A Recordings」(MA=間)は、鬼才タッド・ガーフィンクル氏が手作りした2本のマイクで録音し、エフェクトやミックスダウンなどの加工は一切しないのがポリシーだ。マリア・アナ・ボボンはポルトガルのファドを歌う人で、子どもの頃から聖歌隊で歌ってきたそうだ。伴奏はピアノ一台で、曲によってはサックスやポルトガルギターが加わる。録音は教会の響きを含んだもので、天然無加工でこの音を実現するために長期間の準備を要したらしい。切々とした情感をたたえた、透明感のある歌声は絶品だと思う。廃盤で入手困難かもしれないけど、ヴォーカル好きのオーディオマニアならぜひ耳を傾けていただきたい。(Sehora da Lapa / Maria Ana Bobone   M・A Recordings 1996)
posted by あおのり at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ヴォーカル

2022年01月20日

ニアフィールドリスニングの快楽

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季刊「ステレオ・サウンド」は他所でひもとくことはあっても、買ったことがない。紙面は美しくて格調も高いのだけれど、オーディオにどんとお金を注ぎ込んでいるとか、写真を眺めるだけで使った気になれるとか、それとも一関「ベイシー」の菅原さんの熱烈なファンとか、そういう人しか楽しめないのではないか? 本書はその「ステサン」に連載されていた記事を編集したもので、こういう本はまことにありがたい。

著者の和田博巳はジャズ喫茶店主、ベーシスト、プロデューサー、オーディオ評論家と、一貫してプロフェッショナルの側に立って来た人ではあるけれど、上からモノを言うような感じはさらさらない。読んでいる方もつい「和田さん」と言ってしまうような、お互いにただの音楽好きとして雑談に興じているような語り口が嬉しい。ニアフィールドでの聴き方を提案しつつ、機材やソフトの体験を聞かせてくれる。

その一方で、「大型のスピーカーが売れなくなったら困るじゃないか」みたいな、業界の都合にも気配りをしているようだ。ちょっと長くなるけど、引用させていただく。「ぼくの言うニアフィールドリスニングの薦めとは、二フィールドリスニングというスタイルがオーディオの理想的な形態だと力説しているのではなく、将来的な夢は夢として残しておきながらも、現実限られた住環境の中で努力すれば、オーディオ的喜びが存分に味わえる素晴らしい世界がそこにあると言いたいのである」……なるほどねえ。「力説しているのではなく」とあえて書いているからには、理想的な形態だと思っているのに違いないのだ。勝手に行間を読んでしまってごめんなさい、和田さん。
posted by あおのり at 09:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍

コーン・オン・ザ・サキソフォン / アル・コーン   CD

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アル・コーン(ts, 1925〜1988)は作編曲家としてウディ・ハーマン楽団を支え、サックス奏者としては「フォー・ブラザース」の一員だった。単独名義のアルバムよりはズート・シムズ(ts)と組んだ「アル&ズート」のシリーズが知られている。これまでほとんど聴いていなかったので、Avid JazzのCDを取り寄せてみた。フレディ・グリーン(g)の「ミスター・リズム」も聴いたことがなかったので、好都合だった。

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わざわざ「サックスの〜」と前置きをつけるのは、やはり作編曲家としての活躍が目立っていたからだろう。コーンのテナーは、ズート・シムズと同じくくつろいだ中間派のスタイルで、気持ちよく聴ける。3曲でつきあっているフランク・リハク(tb)は歯切れ良く吹くのにまるで知らない名前だったので、J.J.ジョンソンが変名で吹いているのかと思った。調べたらヘロインの嗜癖で「シナノン」に入っていたことがあり、アート・ペッパーの自伝「ストレート・ライフ」にも登場しているそうだ。こんなに凄いのに身を持ち崩さなかったら……と、残念な人だ。ハンク・ジョーンズ(p)、ミルト・ヒントン(b)、オジー・ジョンソン(ds)と強力なリズム隊で、とくにヒントンのポンポンと「乗せてあげまっせー」みたいなベースはイカしている。(Cohn On The Saxophone / Al Cohn   1956 Avid Jazz)
タグ:DAWN
posted by あおのり at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜