2022年07月04日

危機 / イエス     CD

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アルバムで3曲しか入っておらず、中でも「危機」は20分近くの大作だ。前作の「こわれもの」と同じメンバーで、さらに曲作りが精緻になっている。演奏も高度だけれど、ジョン・アンダーソンのヴォーカルが光っている。彼はかなり能天気な人らしいけど、だからこその「天使の声」なのかもしれない。シャウト系のヴォーカルだったら、とても20分は聴き続けられない。「同志」(And You And I)は、おそらくはスティーヴ・ハウ(g)が大好きなフォーク(息子を「ディラン」と名づけたほど)を発展させた曲で、アメリカではヒットチャートに食い込んだ。難曲は「シベリアン・カートゥル」で変拍子とポリリズム、さらにはリズムを刻まないベースで、ここまで行くと変態なんだろうけど、ロックの発展形に聴こえるのが不思議だ。

なるべく大音量で、音が広がるようなセッティングで聴きたい。そうでないとちゃちに感じて、しらけてしまう。それとCDに入っているボーナス・トラックは聴いてはいけない。少なくとも続けて聴くのは、NGだと思う。ぼくが持っているのはボックスのCDだけど、つるんとした音が大音量(ダイナミックレンジが狭い)で入っている。リマスタリングでそうなってしまったのだろうけど、本当のところはLPで聴きたいアルバムだ。(Close To The Edge / Yes   1972 Atlantic)
posted by あおのり at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック

2022年07月03日

ブルックナー 交響曲第8番 リスボン・ライヴ / チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー交響楽団   2CD

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セルジュ・チェリビダッケ(1912〜1996)はルーマニアに生まれて、ドイツで活躍した指揮者。マルチリンガルでこだわりが強く、妥協を許さない態度で、毒舌でも知られた。いわゆる発達障害があった人なのだろう。抜きんでた才能のおかげで障害者にならず、「困ったちゃん」で済んでいた。この人のおかげで周りが困ることはいくつもあったけど、そのうちの一つが「めったに録音を許さない」だった。自分はホールの響き方まで計算に入れて振っているのに、それを民家の一室で、ちゃちな円盤と装置で鳴らされてたまるか、みたいな感じだったのだろう。テレビの収録を許していたのは、「これは実況中継であって、作品ではない」という理屈だったのか。大量にレコードを流通させていたカラヤンへの対抗意識があったのかもしれない。

生きている間は自分でコントロールできても、死んじゃったらしょうがない。遺族が許可(そりゃ、するだろうね)して、もとが放送音源だった録音などから、CDが作られて販売されるようになった。この「リスボン・ライヴ」もその一環で、もとはマニア必聴の海賊盤だったのが、正規にリリースされた。録音も非常に良いのが特徴で、安心してチェリビダッケのブルックナーに浸ることができる。だいたい80分くらいで演奏される曲が、チェリビダッケらしく100分以上いかけられている。ブルックナーが築いた大伽藍を隅々まで、じっくりとながめるような体験だ。最後の拍手がすぐに切られちゃうのが、ちと興ざめではあるけど。(Chelibidache Em Lisboa  Anton Bruckner Symphony No. 8  1994)
posted by あおのり at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック オーケストラ

2022年07月02日

ラウンド・アバウト・ミッドナイト・アット・ザ・カフェ・ボヘミア / ケニー・ドーハム      LP

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ケニー・ドーハム(tp, 1924〜1972)はアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズを退団して、「ジャズ・プロフェッツ」を結成した。ところが旗上げした直後にクリフォード・ブラウンが交通事故で亡くなってしまい、困り果てていたマックス・ローチのために一肌脱ぐことになった。よってこのグループの録音は、スタジオ盤とこのライヴ盤が一枚ずつになってしまった。当初はジャッキー・マクリーン(as)が参加するはずだったが、バンマスのチャールス・ミンガスに殴られて歯を折ってしまい、J. R. モンテローズ(ts)になったということだ。色々な偶然が重なってこの面子になったし、すぐに惚れこんだアルフレッド・ライオンが録音機材をライヴハウスに持ち込んでくれたので、この奇跡の一枚が生まれたということになる。

当時のジャズ・トランぺッターはディジー・ガレスピーのスタイルをいかにモノにして、その上で自分のスタイルを作れるかに腐心していたと思う。マイルス・デイヴィスは1オクターブ低く吹くことはできたけど、ハイノートでハネるようには吹けなかった。それで音数を減らして、ミュートを多用するスタイルを作っていったのだと思う。ドーハムはファットな音色を活かして、訴えかけるような、じっくり聴かせるスタイルだ。「ラウンド・ミッドナイト」はマイルスの演奏が有名だけど、ドーハムも良い味を出していると思う。

メンバーはドーハムの他、J. R. モンテローズ(ts)、ケニー・バレル(g)、ボビー・ティモンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アーサー・エッジヒル(ds)と、当時のアクが強い系ハード・バップのオールスター・メンバーと言って良いだろう。ドーハムのペット以上に泥臭いブルーズを感じさせる、モンテローズとバレル。ティモンズは軽やかなファンキーで、イカしている。ジョーンズの粘っこいベースに、エッジヒルのキレの良いドラムと、この面子で長続きしたら名盤を連発したのではないかと思ってしまう。まあこの一枚で十分、なのかもしれないけど。('Round About Midnight At The Cafe Bohemia / Kenny Dorham  1956 Blue Note)
タグ:BLUE NOTE
posted by あおのり at 08:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ 1950年〜

2022年07月01日

吉松隆 チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」他 / 藤岡幸夫指揮 BBCフィルハーモニック ピーター・ディクソン(cello)    CD

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表題曲の他に「鳥たちの時代」、チカプ(オーケストラ版)を収録。「ケンタウルス・ユニット」の第2楽章は吉松さんが「Like BIWA」(琵琶のように弾いてくれ)とイギリス人のディクソンに注文をつけて、琵琶のCDを渡したそうだ。「琵琶の耳鳴りがしておかしくなりそうだ」と藤岡さんに泣き言を言いつつも、自分の腕前を見込んで書かれた作品に挑んだ。吉松作品には命のきらめき、はかなさを感じることが多いけど、この曲はとくにそんな感じがする。(Takashi Yoshimatsu  Cello Concerto etc. / Peter Dixon  BBC Philharmonic Sachio Fujioka   2004 Chandos)
posted by あおのり at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 現代音楽

2022年06月30日

CD13 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ / スヴャトスラフ・リヒテル

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このCDボックスには、すでにベートーヴェンの一枚があった。他の作曲家を挟んで、最後にまたベートーヴェンというのは「これぞリヒテルの真骨頂」と編集者と思った結果なのかもしれない。ピアノ・ソナタ第10番、第17番「テンペスト」、第18番が収録されている。強弱のダイナミズムは健在だけど、剛腕で弾きまくるというよりは、軽やかさやお茶目な感じが出ていて楽しめる。

ふと思ったのは、ベートーヴェンはピアノのヴィルトゥーゾとしても高名で、ピアノという楽器の改革者でもあった。彼と同じくらいに弾けないと、作曲者の意図を汲み取れないということもあるのかもしれない。
posted by あおのり at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Legendary Soviet Recordings