
ジューン・クリスティ(1925〜1990)の Avid Jazz 2枚組を手に入れた。クリスティは下積み生活の後、スタン・ケントン楽団にアニタ・オディの後釜としてヴォーカリストを務めた。ケントン楽団を退団してからはソロに転じたが、なかなかヒットが出なくて苦労したらしい。ポップ路線をあきらめてジャズ・ヴォーカルに方向転換したら、そこそこ売れるようになったというのが面白い。
ケントン楽団時代の同僚だったピート・ルゴロ(tp)の編曲も洗練されていたけど、クリスティの歌唱も良かった。アニタ・オディのようにバリバリとアドリブをかますことはできないが、ハスキーで野太い声質と、アンバランスに清楚でブロンドの容姿が男心をソソらせたのだ、きっと。惜しいことに1960年代以降はアルコール症のために、まともな録音を残していない。

ジューン・クリスティと言えば、まずこの録音でしょう。というか、ぼくはこれしか知らなかった。1953年と1955年に録音されたモノラルは、モノクロのジャケット。1960年代に入って録音されたステレオ盤は、カラーのジャケット。でもその後に、モノクロ盤にカラーのジャケットが使われて、ややこしいレコードらしい。
聴くなら声が衰えていないモノラルだけど、さすがは Avid Jazz でモノラル録音の方を収録している。
アレンジと指揮は、ピート・ルゴロ。バックのミュージシャンは大勢クレジットされているが、西海岸の腕利きで見知った名前がゴロゴロいる。ジミー・ジュフリー(ts)、バド・シャンク(as)、メイナード・ファーガソン(tp)、ラス・フリーマン(p)、ハワード・ロバーツ(g)、シェリー・マン(ds)など、キリがないのでやめておくけど、ボブ・クーパー(ts)はクリスティの夫君だ。冒頭の「サムシング・クール」は、ヒット曲になったらしい。(Something Cool / June Christy 1955 Avid Jazz)
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